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#12 |営業マンの罠!?初心者だった私が学んだ投資信託の選び方


私のホロ苦い経験

「投資信託」と聞くと「よく知らないけど怪しそう」とか「危険なもの」と感じる方も多いようです。実は私自身も以前はそう思っていたのですが、自分なりに経験したり疑問点を調べたりするうちに、選び方や付き合い方次第で利用価値の高いものだということがわかってきました。かと言って必ず儲かる方法が会得できたわけではありませんが。

事の起こりは15年ほど前。当時はいろいろな証券会社の営業マンが事務所をちょくちょく訪れましたが、私は素っ気ない対応を貫き、ろくに話に耳を傾けることもありませんでした。ところがその中のひとりのYさんは、私の毎度の冷徹な態度にもめげずにあまりにも熱心に顔を出してくれるので、とうとう根負けしてある日話を聞いてみることにしたのです。

そんなタフな営業マンですからセールストークも巧みで、私は勧められるがままにある投資信託を購入する流れになりました。当時私はすでにFP資格を持っており投資信託の理屈だけは知っていましたが、自分では買ったことがなかったので、新しい経験を積むのも悪くないとの考えもありました(実はYさんは超イケメンだった! というのはここだけの話)。

その後も続けてYさんから2本ほど購入しましたが、ほんとうのところはその投資信託の特性も手数料のこともよく理解しないまま保有しているだけでした。そして程なくYさんは栄転され、私の担当は他の営業マンに変わったのですが、2人の営業力の差が顕著で、Yさんがいかに凄腕だったかを後になって実感しました。

そうこうしているうちに私にもだんだん投資信託についての知識が付いていき、振り返ればYさんのオススメの商品は今なら絶対に手を出さない商品でした。何が不適切だったのかはコラムの最後の方でご説明しますが、それらは証券会社にとってメリットのある売りたい商品だったようです。

投資信託のしくみや特徴

ご存じの方も多いかと思いますが、投資の世界には昔から「卵はひとつの籠に盛るな!」という有名な格言があります。「卵をひとつの籠に全部盛ると、籠を落としたときに全部割れてしまう危険性があるが、いくつかの籠に分けておけばひとつを落としても他の籠の卵には影響がない」という意味で、投資も特定の商品に集中するのは危険で、複数の商品に分散して幅広く投資することが大事だというわけです。

この分散投資を個人で実践するには、まとまった資金や投資に関する知識、経験が必要で、さらに手間暇をかけないと難しいですが、それが少額からでも容易にできるのが投資信託(ファンドともいう)です。この投資信託のしくみや特徴を<図表①>にまとめましたので、続く説明とともにご覧ください。

投資信託は読んで字のごとく「投資じてす」もので、多くの投資家のお金を集めてひとつの資金とし、運用のプロである運用会社が国内外の株式や債券などに投資・運用する商品です。なお、運用をプロに任せるので当然ながら手数料が必要になります。

この投資信託は「器」にたとえられ、中にどんな資産や銘柄が、どんな割合で組み入れられているか、またどんな手法で運用されるのかにより、1本ずつリスク(値動きの振れ幅)の大きさや値動きの傾向が異なり、安全性を重視するものから、リスクを取りつつ積極的に収益性を追求するものまでさまざまな種類があります。

分散投資はいかに値動きが違うタイプを組み合わせるかがポイントですが、一般的には多様な銘柄に分散投資するほど元本割れのリスクを抑えることができ、実際に株式投資信託で100銘柄もの株式に分散投資している商品もあり、やはり個人ではとてもかなわないなと思います。

投資信託の取引を行う際の単位は口(くち)と呼ばれ、1万口あたりの値段のことを基準価額といいます。この基準価額は毎日1回計算され、投資信託を売却する際は、購入時と換金時の基準価額の差が利益または損失になります。また運用により得られた利益は投資額に応じて投資家に分配金として支払われます。なお、利益から支払われる分配金や売却益には、所得税・住民税を合わせて20.315%の税金が課税されます。

運用方法による分類:大きく2種類に分けられます。
①インデックス運用による商品
・株式市場の主要な指数に連動する運用成績を目標とする運用
・運用の手間があまりかからないので、手数料は低め

②アクティブ運用による商品
・市場平均を上回る運用成績を目標とする運用
・専門家が独自の理念で運用するので商品ごとに特色があり、手数料は高め

購入するには:
投資信託は大半の金融機関で購入できますが、金融機関ごとに取扱い商品の数や銘柄がかなり違います。また同じ投資信託でも金融機関によって手数料等の購入条件が異なります。一般的には窓口よりネットのほうが手数料は安いし、ネットならアドバイスという名のセールス(笑)を受けることもありません。反面、ネットは品揃えが多すぎて選びにくいようにも思います。もし窓口で購入する場合は買いたい商品を決めてから行き、間違っても「お勧めは?」などと聞くことは避けましょう。

メリット・デメリット

メリット・デメリットについては本文では触れませんが、次の<図表2>にまとめましたのでご確認ください。

初心者の商品選び

現在日本で一般の投資家が買える投資信託は約6,000本以上あますが、その中から初心者が分散投資を意識して商品を選んだり組み合わせたりするのはなかなかハードルが高いと思います。その場合に手っ取り早い選択肢になるのがバランス型の商品です。

バランス型は、あらかじめ株式や債券等の資産が一定割合で組み合わされているので、何パターンかの中から自分の考え方に合う資産配分の商品を選ぶだけで分散投資ができます。もっとも「考え方」などと大袈裟にとらえる必要もなく、株式の割合をどれくらいにするかを決める程度で選べます。次の<図表3>にイメージや特徴を記載しましたのでご参照ください。

投資信託の“初めの一歩”としては、このバランス型の中から1本を選んで毎月一定金額を積立投資していく方法がお勧めです。そして投資信託がどんなものかわかってきたら、次は値動きがわかりやすくコストを抑えられるインデックス運用の商品を検討し、さらに積極的な運用をしたいと思う場合は、アクティブ運用の商品にチャレンジするのもいいと思います。

ここでご参考までに、公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2020年度以降の資産配分は、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式の4資産に25%ずつ投資するものです(<図表3>右下参照)。

なお、GPIFの2024年度第1四半期の期間収益率は年率+3.65%、またGPIFが運用を開始した2001年度から2024年度第1四半期までの収益率は年率+4.47%となっています。

さて、私がYさんに勧められて購入した3本の投資信託とその顛末です。

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