#32 妻の収入が夫死亡直後に減額となったケース
今回は、夫の生前には妻が高収入で、夫の死亡直後に妻の収入が大幅に減額となったケースです。妻は夫の生前、夫に代わり社長に就任し、夫が死亡後、すぐに社長を辞任しました。これにより収入が大幅に減額となり、収入要件の基準額未満となりました。ポイントは、夫の死亡日において、妻の収入減が予見できたかどうか、です。
ケースによっては、死亡日において近い将来の収入減が予見できる、とされる場合もあります。では、今回のケースを詳しく見ていきましょう。
夫死亡当時、妻の前年収入は900万円
夫であるA雄さんが死亡したとのことで、B子さんは遺族厚生年金の請求に年金事務所を来所されました。加入記録とB子さんの持参資料等から、A雄さんは死亡時、厚生年金被保険者であり、老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権者でありました。また、B子さんがA雄さんの妻であり、A雄さん死亡の当時、A雄さんと生計同一だったことは間違いありません。
ところが、B子さんには給与収入が900万円ありました。
厚生年金保険の被保険者が死亡したとき、死亡者の遺族に遺族厚生年金が支給されます。遺族が配偶者である場合には、死亡者の死亡当時、死亡者によって生計を維持された者であることが必要です。
生計を維持した配偶者と認められるには、生計が同一であり、かつ、「年額850万円以上の収入を将来にわたって有すると認められる者」以外の者でなければなりません。
したがって、問題となるのは、B子さんがA雄さん死亡当時、年額850万円以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外の者であって、A雄さんによりその生計を維持していた者であると認められるか、否かということになります。
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