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[ねんきん最前線 市区町村VOICE]                                                                                                                                                                    東京都文京区 福祉部国保年金課国民年金係

国民健康保険の手続きに来訪された方を国民年金にご案内し、その場で必ず保険料の納付状況を確認し納付勧奨や免除手続きを行う。
年金事務所や福祉事務所とも連携した納付・免除勧奨を行い納付率向上に貢献。

 文京区の国民年金業務は、10人(年金係長1人、正規職員8人、会計年度任用職員1人 。2023年4月1日現在)で行っている。2022年度には、「令和4年度市区町村国民年金事業功績厚生労働大臣表彰」を受けた。表彰の対象となった取組みは主に2つ。ひとつは、窓口の来訪者の保険料納付状況を必ずその場で確認し、年金事務所と連携した納付・免除勧奨を実施したこと。もうひとつは、国民健康保険窓口や福祉事務所と連携し、国民健康保険や生活保護受給の手続きに来た方に漏れなく国民年金手続きを案内するなど、納付率向上に貢献したことである。こうした取組みや日頃の業務や今後の課題について、国保年金課の中島一浩課長と国民年金係の伊佐間陽子係長に話を聞いた。

*本記事は、特定非営利活動法人 年金・福祉推進協議会ホームページ掲載の「Web年金広報」 (2023年6月号)を再掲載したものです。

東京都文京区はここです。

「文京区ってどんなところ?」

 文京区は、東京都の東部、皇居の北側に位置する。文京区役所は東京ドームに近いシビックセンターの1階から26階までに配置され、25階には展望台、26階にはスカイホール(会議室)がある。東京ドームの周辺には、遊園地、ショップ、レストラン、娯楽施設などがあり、常に賑わいを見せている。その近くには、季節の花を楽しめる小石川後楽園や、春の文京つつじまつりで知られる根津神社などの緑地がある。また、繁華街やオフィス街を抜けると閑静な住宅街が広がる。文京区内を8本の電車が走り、都心へのアクセスも良いことから、住みやすい街として上位にランキングされている。大学が多いことでも知られ、東京大学をはじめ、国立・私立の大学、短期大学19校が存在する。

●人口: 合計230,201人。うち、20~59歳は137,265人、65歳以上は43,608人
●国民年金第1号被保険者数:合計43,006人。うち、任意加入被保険者834人
●国民年金保険料免除者数:合計10,798人。うち、法定免除1,206人、申請免除9,592人(全額免除3,651人、一部免除308人、納付猶予639人、学生納付特例4,994人) 
●国民年金受給者数:老齢基礎年金40,026人(うち、基礎年金のみの人7,458人)、障害基礎年金467人、遺族基礎年金234人
                         *2023年4月1日現在

国保年金課の利点を生かし、国民健康保険各係と連携したスムーズな国民年金の手続きを実現

――この度、「令和4年度市区町村国民年金事業功績厚生労働大臣表彰」の受賞、おめでとうございます。どのような取組みが評価されたのでしょうか。

中島課長 一つは国民健康保険各係(以下、国保係)との連携で、国民年金保険料の納付率を向上できたことです。文京区では、国民健康保険(以下、国保)と国民年金が一つの課で管理されています。区役所に国民年金の手続きだけで来訪される方は少ないため、国保の手続きに来られたお客様のうち国民年金の手続きも必要な方を国保窓口で確認し、国民年金係に案内させています。国民年金係には、年金保険料は将来自分が受け取る年金額に影響することを伝えるよう指示しています。単に支払いを促すだけでは納付の必要性をなかなかご理解いただけないのですが、受け取る年金額に影響があることを伝えることで、納付へのご理解をいただいています。

伊佐間係長 国民年金のことで年間約8,000件の方が訪れますが、うち約6,000件の方は国保係経由の方です。国民年金の窓口に来られた方に対しては、その場で国民年金保険料の納付状況の確認を行います。そのうえで保険料納付の勧奨を行い、納付が難しい場合は免除申請の案内をします。お客様が即決できなくても、案内書や申請書などを持ち帰っていただき、検討していただくようお願いしています。

――窓口に来られた方に納付を勧奨する際に心掛けていることはありますか?

伊佐間係長 先程課長のお話にもありましたが、保険料の納付のことだけでなく、給付についても丁寧に説明しています。保険料の納付実績が老齢基礎年金額に反映することを伝え、納付をお勧めしています。また、納付に際しては、割引のある口座振込みや前納制度を積極的にご案内しています。これまでの納付状況から保険料の支払いが難しいと思われる方には免除制度だけでなく追納制度も併せて説明しています。また、ご案内中に興味を持たれた方には、ねんきんネットをご紹介し、自身の年金情報をインターネットで手軽に確認していただいたりしています。さらにマイナンバーカードをお持ちの方には、マイナポータルからスマートフォン等を通じて電子で申請していただいたりもしています。

年金事務所や福祉事務所との連携も保険料の納付率向上につながる

――年金事務所との連携についてはいかがでしょうか?

伊佐間係長 文京年金事務所には、加入手続きの際に保険料の納付状況も電話で教えていただいています。窓口以外の納付状況の確認には貸与いただいているウインドマシンを活用しています。

――年金事務所とは研修会などでも連携されていますか?

中島課長 年1回、文京年金事務所の所長、国民年金課長、お客様相談室長に来庁していただき協力連携事務の打ち合わせを行っています。また、週1回、進達書類の受け渡し時に年金事務所の国民年金課長と係長が簡単な打ち合わせを行っています。その他には、年金事務所に講師を務めていただき、年に4回、研修会を行っています。本区は在外任意加入のお申し出を受けることも多く、区民の方に社会保障制度について説明をしています。なかなかご案内が難しいところでもありますので、この6月には、荒平文京年金事務所長に「社会保障協定」について講義していただく予定になっています。それ以外ではウインドマシンの使い方や障害年金の受付など、新しく入ってきた職員にも勉強になるような講義をしていただいています。

――福祉事務所とも連携されているそうですが、どのようなことでしょうか?

伊佐間係長 福祉事務所には生活保護の受給者に洩れなく国民年金の手続きをするよう案内をしてもらっています。さらに、福祉事務所からは生活保護者データの提供を受け、生活扶助の開始・廃止情報をリストにして年金事務所に提供しています。このことにより、年金事務所が免除対象者を確実に把握できるようになり、納付勧奨や督促の対象者を減らせたと感謝されました。

中島課長 文京区の場合、福祉事務所と同じ福祉部に国民年金係がありますから、そういった意味でも連携しやすい環境にあります。

――国保係や福祉事務所、年金事務所との連携もあり、保険料の納付率はどれくらい向上しましたか?

中島課長 各所との連携が納付率の向上につながり、2019年度に76.7%だった現年度納付率は2020年度には80.1%となり、さらに2021年度は82.6%、2022年度には84.4%と伸び続けています。こうした保険料納付率の向上に貢献したことが評価され厚生労働大臣表彰を受けることができました。東京都の平均が約70%であるなか、文京区は東京23区内でも特に高い納付率となっています。
 保険料の納付自体は年金事務所の管掌ですが、区役所としても納付率の向上に貢献するために、国保や生活保護の手続きにいらっしゃった方を確実に国民年金につなげ、機会を逃さなかったことが功を奏したと思います。

大学が多い街ならではの取組み

――納付率の向上に向けて、他に取り組んでいることはありますか。

中島課長 文京区は大学が多いことでも知られています(表1)。したがって留学生などの外国人も多く区全体でも外国人の数は増えています(表2)。スムーズな外国人対応に力を入れており、窓口に来た外国人には外国語対応の書類セット(案内、申請書など)を渡すようにしています。外国語ができる職員を配置し、外国語対応のタブレット等も活用しています。


伊佐間係⻑ 外国人対応には時間がかかることが多いので、窓口がふさがることがないよう、窓口の滞在時間をできるだけ短くする工夫をしています。たとえば、説明にあたっては日本年金機構のホームページから14か国語に対応した翻訳文を活用するほか、文京区でも独自に14か国語対応の申請手順を作成しています。待ち時間に外国人に日本年金機構のホームページを閲覧していただけるよう、二次元バーコードも作成しました。また、留学生は圧倒的に中国人が多いため、窓口等に中国語による案内を表示しています。

各国の言葉に翻訳された文書。

今後の課題は学生納付特例免除のスムーズな受付け

――今後の課題はどのようなことですか?

伊佐間係⻑ 一番の課題は 留学生に対する学生納付特例免除の対応です。留学生は転入手続きと併せて国民年金の加入手続きに来ますが、学生証を所持していないケースがほとんどです。この場合、制度説明や申請書記入のご案内はできるのですが、窓口で学生証を確認できないため、区役所で申請を受け付けることができません。後日改めてご来庁いただくか、郵送での申請をお願いしています。しかし、年金機構からたくさん納付書が届いてから、驚いて再来庁する方も多く、学生納付特例免除の申請がスムーズに進むように、大学で免除申請を受け付ける代行申請制度がもっと普及することを望んでいます。

中島課⻑ これからは、国民年金の手続きもデジタル化を取り入れていくべきでしょう。もちろん個人情報には十分配慮する必要がありますが、マイナポータルや電子申請をもっと活用していただきたいですね。

――本日はどうもありがとうございました。

国保年金課の皆さん。左から、中島一浩国保年金課長、
伊佐間陽子国民年金係長、藤波拓登さん、永松瑞希さん、板橋研介さん。

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