#23 遺族厚生年金の受給権者となるのは、実母か? 養子縁組した養母か?
今回は、娘が死亡したときに、娘に生活の面倒を見てもらっていた実母と養母のどちらが遺族厚生年金を受給できるか、という事例です。娘と実母、養母は一緒に暮らしていました。養母は娘の夫(故人)の実母、つまりは義理の母ですが、娘と養子縁組をしていました。この場合、遺族厚生年金の請求にあたり、実母と養母の取り扱いに違いはあるのでしょうか。
死亡者(娘)と実母、養母が生計同一で生活していた
同居している娘のA子さんが死亡したとのことで、A子さんの実母X子さんと養母Y江さんが遺族年金の請求に来所されました。
X子さんはA子さんの死亡当時、A子さんと同居しており、かつA子さんの収入によって生計が成り立っていたそうです。一方、養母のY江さんはA子さんの夫(故人)の実母で、A子さんの死亡以前にA子さんと養子縁組をしているとのことです。
実母と養母の2人が遺族厚生年金の受給ができるか否かという相談に来所されました。遺族厚生年金の請求権者を確定するためには複雑な事情がありそうなので、両者に話を聞いていくこととなりました。
A子さんの夫は自営業者でしたが、3年前に死亡しました。A子さんの2人の子は、ともに18歳以上だったので遺族基礎年金は発生せず、A子さんが死亡一時金のみを受給されたとのことでした。
A子さんは死亡まではX子さん、Y江さんと2人の子の5人で生計同一で生活していました。また、A子さんはY江さんと普通養子縁組をしていることがわかりました。また、X子さんは老齢基礎年金のみを受給中で、Y江さんは老齢基礎年金と夫死亡による遺族厚生年金を受給中ということもわかりました。
ここまでの状況からすると、A子さんの死亡は厚生年金保険法(以下「厚年法」という。)第58条第1項の
「遺族厚生年金は、被保険者又は被保険者であつた者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の遺族に支給する」であって、
その第1号「被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって、行方不明となった当時被保険者であつたものを含む。)が死亡したとき。」に該当します。
さらに、A子さんの加入記録を見ると、平成25年4月1日に厚生年金被保険者となってから死亡日(令和5年3月10日)まで継続して約10年間あるので、厚生年金被保険者の死亡であって、いわゆる短期要件の「直近1年要件」を充分に満たしています。
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