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創薬力強化へ薬価制度の見直しを提言――医薬品有識者検討会が報告書まとめる(2023年6月6日)

厚生労働省の医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会(遠藤久夫座長)は6月6日、報告書を大筋でとりまとめた。報告書は課題を整理した上で、対策の方向性を示す内容で、創薬力の強化に向けた薬価制度見直しなどを提言している。今後、報告書が示す「対策の方向性」に基づいて、中医協等で薬価制度見直しなどの議論が進められることになる。

報告書案は、国民に必要な医薬品が十分に供給されない状態が続いている供給問題について、十分な製造能力や体制を確保できない企業が新規品目を上市し、十分な製造管理も行われない中で少量多品目生産が行われるという「後発品産業の構造的課題」があるとの認識を示した。この課題に対応するため、後発品産業のあるべき姿の策定や、その実現に向けた議論を行うための「新たな会議体」を設置するべきと記載した。製造能力や生産計画など、医薬品の安定供給等に関する企業情報を踏まえた薬価の評価のあり方を検討すべきとの方向も示した。

欧米では承認されているが国内では未承認の医薬品は143品目あり、うち国内で開発にも未着手になっている医薬品は86品目。近年、ドラッグ・ラグだけでなく、日本での開発も行われないドラッグ・ロスも懸念されるとの認識を示した。

その背景には、現行の薬価制度等がモダリティの変化等に適合していない現状があるとし、制度を大胆に見直すことが必要と指摘した。ここで示された薬価制度見直しの方向は次の通り。

  • 新規モダリティなどの革新的医薬品について新たな評価方法を検討すべき

  • 医療上特に必要な革新的医薬品の迅速な導入に向けて、新たなインセンティブを検討すべき

  • ベンチャー発の医薬品の新薬創出等加算における適切な評価を検討すべき

  • 医療上特に必要な革新的医薬品については特許期間中の薬価を維持する仕組みの強化を検討すべき

  • 市場拡大再算定について、再算定の対象となる類似品の考え方の見直しを検討すべき

毎年薬価改定のあり方については検討会の見解を示さず、毎年薬価改定のあり方を検討すべきとの意見があったとの記載にとどめた。これについて委員から「もう少し踏み込んだ記述をお願いしたい」との要望が出された。
しかし、厚労省の安藤公一医薬産業振興・医療情報企画課長は「さまざまな調整を経て、この報告書案になっている。委員のご意見を100%書ききれるか、難しい」と述べ、最後は座長預かりのかたちで報告書が了承された。

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