睡眠指針の改訂に向けた検討を開始 健康日本21(第三次)の取組みに活用(2023年7月31日)
厚労省は7月31日、健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会(座長:内村直尚・久留米大学学長)の初会合を開いた。「健康日本21(第三次)」における睡眠分野の取組みを推進するため、「健康づくりのための睡眠指針2014」を改訂する。
「健康日本21」では睡眠に関する具体的な目標項目を設定し、普及啓発に取り組んできた。一方で「健康日本21(第二次)」の最終評価(2022年)においては、「睡眠による休養を十分にとれていない者の割合の減少」は悪化傾向であることが示され、睡眠の意義や重要性を広く国民に周知啓発していく必要があるとされている。
また、「健康日本 21(第三次)」においては、「睡眠の量」を図るものとして、「睡眠時間が十分に確保できている者の増加」という目標が追加されることとなった。
「睡眠指針」に関しては、平成15年度に「健康づくりのための睡眠指針~快適な睡眠のための7箇条~」が策定された後、平成26年度には同指針を改訂し、「健康づくりのための睡眠指針2014」が策定され、現行の指針となっている。同指針の策定から9年が経過し、科学的知見がさらに蓄積されつつあることなどから改訂を行う。
この日紹介された近年の知見としては、睡眠によりどれだけ休めたかという主観に基づく「睡眠休養感」と死亡リスクの関連がある。例えば高齢者のグループにおいては「床上時間(寝床で過ごす時間)が長く、かつ睡眠休養感がない」場合に統計的に有意なリスクの増加が見られた。高齢者にとって必ずしも睡眠時間が長ければいいものでないことを示しており、睡眠指針の改訂に活用していく。
改訂にあたっての論点は次の4点。
属性等を踏 まえた構成について
「良質な睡眠のための環境づくり」について
「睡眠と嗜好品」について
「就業形態と睡眠の課題」について
構成員はこの論点をもとに検討を進めていくことを了承した。なお、「カフェインに関しては若年層を対象としたエナジードリンクの市場が存在しており注意の呼びかけが必要」「妊娠中の方や子育て世代・世帯に向けたメッセージも大切」といった意見もあがった。
新たな指針は令和5年度中を目途に策定。令和6年度からの「健康日本21(第三次)」に基づく取組みや自治体の健康増進計画で活用する。