謎の新興国アゼルバイジャンから|#41 解題『ちょっと気になる政策思想』(上)全ての経済学には「思想」がある
みなさんこんにちは。
1月に入って、バクーは厳寒の毎日が続いています。もともと風が強い街ですが、暖冬だった去年と違って今年は寒波が何度も押し寄せてくるし、時には雪も舞うので、文字通り「寒風吹きすさぶ」毎日です。
この年末年始、エジプト大使のお勧めもあったので、お許しをいただいて休暇をエジプトで過ごしました。
5,000年の歴史の重みというのはそれはそれは凄いもので、それこそ聖書以前の世界が普通に目の前に広がっているんですからその迫力には言葉もありません。
世界観が変わる経験でした。
皆さんも是非一度ご旅行下さい(笑)。
知的刺激を与えてくれる本に出会った
さて、本題です。
久しぶりに、わくわくするような知的刺激を与えてくれる本に出会いました。
『ちょっと気になる政策思想―社会保障に関する経済学の系譜』(権丈善一著 勁草書房)です。
年金に関心のある読者諸兄であれば、権丈教授をご存じの方は多いことと思います。
昨今、世の中閉塞感に満ちあふれているせいか、内向きでペシミスティックなことばかり言う人、あたり構わず世の中の森羅万象に罵詈雑言を浴びせかける人、さもなくば「世の中がうまくいかないのはこいつのせいだ」と魔女狩りに精を出す人、わざと極論を吐いて耳目をひこうとする人、甘言を弄して世を謀る人、何にしても非生産的で反知性的な言説ばかりが出回っている中で、こういう知的で示唆に富む本に出会えたというのは大げさに言って奇跡に近い位嬉しいことです。
実は別の某経済誌に「書評」を書かせていただきましたが、例によって字数制限なんかもあって十分書き切れなかったので、「解題」と題して、3回に分けて、「社会保障と経済学」に引きつけて書いてみたいと思います。
できるだけわかりやすく書きたいと思いますので、お付き合い下さい。