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国民医療推進協議会が後期高齢者の窓口負担引き上げで決議(12月2日)

三師会をはじめ医療・介護関係の41団体で構成する国民医療推進協議会(会長=中川俊男日本医師会会長)は12月2日に総会を開き、後期高齢者の窓口負担2割への引き上げについて慎重な対応を求める決議を採択した。政府・与党に要望していく。

総会で中川会長は、日医として全世代型社会保障検討会議や社会保障審議会医療保険部会で意見表明をしてきたことに触れ、「このような時期に後期高齢者の患者負担割合を1割から2割の倍にする議論する自体が社会保障としてのやさしさがまったく感じられない。私たちは後期高齢者を含めた高齢者の医療を守っていかなければならない」と訴えた。

日本歯科医師会の堀憲郎会長は、「応能負担の議論はあってしかるべきだが、特に高齢者の負担能力の有無については慎重な確認が必要だ。医療提供者として最も心配しているのは窓口負担増による高齢者の受診控えで、新型コロナの影響ですでに受診控えは起こっており、さらなる受診控えを避けるために慎重かつ精緻な議論をお願いしたい。窓口負担を2割にするのであれば最小限にとどめ、実施時期も慎重な議論をお願いしたい」と述べた。

日本薬剤師会の山本信夫会長は、「後期高齢者の負担増はあるべき方向かもしれないが、十分な議論が足りていない。また、高齢者に対して極めて冷たい対応であり、社会保障制度の根幹を崩すことになりかねない。十分な議論を経て、みんなが納得した上で進めるべきだ」と述べた。

【決議】
後期高齢者の患者割合について、患者一部負担割合の引き上げは、高齢者を必要な医療からさらに遠ざけ、経済的にも身体的にも大きなダメージとなる。
現在、新型コロナウイルス感染症感染の不安から、受診控えが続いており、この時期に、このような政策を進めることに、国民の信頼は得られない。
よって、後期高齢者の患者負担割合について慎重に対応するよう、本協議会の総意として、強く要望する。

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