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#39 別施設で暮らす高齢夫婦の遺族厚生年金

石渡 登志喜(いしわた・としき)/社会保険労務士・年金アドバイザー

今回は、妻が要介護となり特別養護老人ホームに入居し、その後、夫も認知症が進んでグループホームに入居してそのまま亡くなった事例です。夫婦は別世帯となっており、それぞれが自分の年金で施設の費用を賄っていました。しかし、夫婦関係が破綻したわけではありません。
このような高齢夫婦の生活形態は通常のかたちの1つと言えますが、一方が亡くなったときに、遺族年金においてどう判断されるのか、ご紹介します。

【事例概要】
死亡者:A夫さん(昭和19年4月25日生まれ:80歳)

・昭和45年6月10日にX市M町に住所を定める
・昭和45年6月15日にB子さんと婚姻
・令和2年1月10日に同市のグループホームに転居
・令和6年7月30日に死亡
 
請求者:B子さん(昭和20年6月15日生まれ:79歳)
・昭和45年6月15日にA夫さんと婚姻して同居する
・平成30年2月10日に転倒し、腰椎の圧迫骨折によりX病院に入院
・平成31年5月12日に同市P町にある特別養護老人ホームに転居


年金受給者の夫婦が別々の施設に入居

夫のA夫さんが死亡したとのことで、妻のB子さんが妹と一緒に遺族厚生年金の請求に来所されました。A夫さんは老齢厚生年金を受給しており、グループホームで過ごしていましたが、そのまま亡くなりました。一方、B子さんも年金受給者で、A夫さんとは別に特別養護老人ホームで暮らしています。 
なお、A夫さんとB子さんは戸籍上婚姻の届出をした夫婦であることは、間違いありません。
 
老齢厚生年金の受給権者(厚生年金保険法第58条第1項第4号に該当する者)が死亡したとき、当該死亡の当時、死亡者によって生計を維持した配偶者には、遺族厚生年金が支給されます。

なお、死亡者によって生計を維持した配偶者とは、死亡者と生計を同じくしていた配偶者で、年額850万円以上の収入または年額655万5千円以上の所得(以下、「基準額」という。)を将来にわたって有すると認められる者以外のものとされています。

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