#39 別施設で暮らす高齢夫婦の遺族厚生年金
今回は、妻が要介護となり特別養護老人ホームに入居し、その後、夫も認知症が進んでグループホームに入居してそのまま亡くなった事例です。夫婦は別世帯となっており、それぞれが自分の年金で施設の費用を賄っていました。しかし、夫婦関係が破綻したわけではありません。
このような高齢夫婦の生活形態は通常のかたちの1つと言えますが、一方が亡くなったときに、遺族年金においてどう判断されるのか、ご紹介します。
年金受給者の夫婦が別々の施設に入居
夫のA夫さんが死亡したとのことで、妻のB子さんが妹と一緒に遺族厚生年金の請求に来所されました。A夫さんは老齢厚生年金を受給しており、グループホームで過ごしていましたが、そのまま亡くなりました。一方、B子さんも年金受給者で、A夫さんとは別に特別養護老人ホームで暮らしています。
なお、A夫さんとB子さんは戸籍上婚姻の届出をした夫婦であることは、間違いありません。
老齢厚生年金の受給権者(厚生年金保険法第58条第1項第4号に該当する者)が死亡したとき、当該死亡の当時、死亡者によって生計を維持した配偶者には、遺族厚生年金が支給されます。
なお、死亡者によって生計を維持した配偶者とは、死亡者と生計を同じくしていた配偶者で、年額850万円以上の収入または年額655万5千円以上の所得(以下、「基準額」という。)を将来にわたって有すると認められる者以外のものとされています。
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