支払基金、電子カルテ情報の共有基盤システム開発着手へ(9月27日)
社会保険診療報酬支払基金の橋本敬史理事長特任補佐は9月27日の会見で、来年度から電子カルテ情報の共有基盤のシステム開発に着手できるように令和4年度事業計画と予算変更を行うことを発表した。
骨太の方針2022において、全国医療情報プラットフォームの創設が明記されたことへの対応。
令和4年度事業計画において「全国の医療機関等で電子カルテ情報を確認できる仕組みの構築について、厚労省と連携を図りつつ、令和5年度にシステム開発を開始することを想定した準備を進める」旨を追加。また、準備経費については国庫補助金が交付されることから収入・支出それぞれに4000万円を増額する。
今年度については厚労省が電子カルテ情報を確認できる仕組みの調査研究を行っていることから、橋本特任補佐は「この間、支払基金としては調達支援事業者を調達して厚労省の調査研究で整理された要件の内容に沿って、調達支援事業者とともにシステム要件とシステム開発事業者の調達仕様書案の作成を行った上で、令和5年度以降に確定させ、調達を開始するイメージだ」と述べた。
9月処理でオンライン請求システムに障害
同会見では、9月処理で発生したオンライン請求システム障害も発表した。9月9日、支払基金のオンライン請求システムにおいて、医療機関等がレセプト送信後に送信完了まで最大2時間36分かかった。受付処理に1時間以上要した医療機関等は6439。
クラウド事業者のデータベースサーバーに異常が発生し、副サーバーに切り替わったもののデータベースサーバーの設定の不備で業務アプリケーション側に、副サーバーに切り替えた情報が伝達されなかったことが原因。再発防止策として11月処理に向けてデータベースサーバーの設定を変更するが、10月処理分に間に合わないため、処理サーバーを増設するなどの対応を行う。
診療報酬等回収不能額は1895万円に
一方、令和4年3月末における診療報酬等収支整理不能額の処理について発表した。医療機関の開設者が行方不明などにより、診療報酬等の過払金を回収できない場合、10年の消滅時効で回収不能となった処分額は1895万5227円となった。回収不能額は審査支払会計から8月31日付で欠損補填を実施した。昨年3月末では1037万7909円だった。
支払基金は、「東日本大震災の影響で開設者が行方不明になって、10年以上経ったことなどが影響しているのではないか」としている。