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事例でみる障害年金請求の勘所|#1 ペースメーカー装着による請求事例

年金時代編集部

 障害年金の手続が、なぜ複雑で難しいのかというと、年金請求の審査はすべて書類審査で行われるところにあります。請求者の意図するところを、書類で表現し、またそれに対する証明書類も添付しなければなりません。老齢年金や遺族年金であれば、その表現や証明は比較的し易いでしょうが、障害年金は、どのような傷病がいつ発生し、どのような重い障害状態であるか、これらを決められた書類で、いかにして表現および証明をしていくかが重要になります。ここが、他の年金と異なり複雑かつ難しくなる所以です。
 本連載では、障害年金請求における書類整備の勘所を、事例を取り入れながら、相談形式で解説していきたいと思います。なお、障害年金を請求するうえでは、納付要件が大事となりますが、本連載では、書類整備に重点をおいて解説しますので、各回における事例は、納付要件をクリアしているものとしてお考えください。

障害年金請求に必要な基本的書類

 障害年金の請求に必要となる基本的書類は、障害年金請求書のほかに、次の3つの書類があります。

⑴受診状況等証明書

 受診状況等証明書(以下「受証」と言います。)は、障害の原因となった傷病により、初めて医療機関を受診した日を証明するものです。初診日証明とも言います。この書類により初診日が定められ、納付要件の判定やその時加入していた年金制度により、障害厚生年金か障害基礎年金かが決まります。ただし、様式に中に初診までの経緯等を記載する欄がありますが、ここに「近医を受診後、当院受診」というように、以前に他の医療機関を受診(これを「前医」と言います。)があることを伺わせる記載があると、初診日として認められず、その前医の受診状況等証明書の添付が必要になる場合も多いですので、必ず記載されている内容すべてを確認しましょう。

 なお、初診の医療機関から現在まで同じ医療機関に通院している場合は、次の診断書で初診日証明ができますので、本証明は省くことができます。

⑵診断書

 その障害の状態(重さ)審査する上で、非常に重要な書類になります。注目すべきは障害状態の記載だけではなく、いつの状態を記載したのかという「現症日」も重要になります。障害年金請求に適切な現症日の記載がなされているかも、注意して確認する必要があります。

 障害年金請求に適切な現症日とは、原則次の通りです。

①障害認定日請求をする場合は、初診日から1年6ヵ月経過した日から3ヵ月以内の現症を記載したもの。
②事後重症請求の場合は、請求日前から3ヵ月以内の現症を記載したもの
③なお、障害認定日請求でも、その認定日から1年以上経過して請求する場合は、上記①と②両方の診断書が必要。

⑶病歴就労状況等申立書

 病歴就労状況等申立書(以下「病歴申立書」と言います。)は、請求者自身が記載する、その障害の原因となった傷病発生から現在の障害状態に至るまでの経緯を記載するものです。
 障害状態およびその初診日の審査は、受証や診断書で行いますが、傷病による障害状態は人それぞれですから、その記載内容だけでは、判別しにくい事項も多々あります。そこで、この病歴申立書の記載も審査の上で参考にする場合がありますので、医師の証明書類ではありませんが、重要な書類になります。

 以上の3つの書類が、障害年金請求における基本書類となりますが、その他、傷病に応じた追加添付書類が求められる場合もあります。

事例●ペースメーカー装着により障害年金を請求

 では、事例に基づいて、相談形式で具体的に検証していきましょう。今回の事例は、ペースメーカーを装着したことにより、障害年金の請求を希望されている方からのご相談です。どのように進めていけばよいか、必要書類はなにか、ご案内しましょう。相談者のステータスは次の通りです。

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