オンライン診療含む遠隔医療の活用に向け医療部会が基本方針策定へ(3月28日)
社会保障審議会の医療部会は3月28日、遠隔医療をさらに活用するための基本方針策定に向けた議論に着手した。
今後、地域医療において遠隔医療が果たす役割や、情報セキュリティなどを議論し、基本方針を令和4年度中に策定する予定だ。
昨年6月に政府が閣議決定した規制改革実施計画には、令和4年度に「オンライン診療のさらなる活用に向けた基本方針を策定し、地域の医療関係者や関係学会の協力を得て、オンライン診療活用の好事例の展開を進める」ことが盛り込まれていた。
今年1月には、厚労省が「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の一部を改訂。これにより、初診からのオンライン診療を可能とし、そのための条件を定めた。
これらを踏まえて厚労省は、オンライン診療のみではなく、専門医と地域の医師との間で行われる症例に関する相談なども含めた「遠隔医療」を推進するための基本方針を策定することとし、医療部会に協議を求めた。今後、遠隔医療を活用した好事例も集める方針。
厚労省医政局の熊木正人総務課長は、「指針では、オンライン診療のルールやガイドラインを定めた。今回は、前向きに、オンライン診療を活用するための基本方針をつくる。議論のなかで、規制の見直しが必要になれば、指針改訂の議論にもなりうる」と述べた。
DtoDの遠隔医療「どんどん進めるべき」 部会長は医療の質の担保に懸念
日本医師会の今村聡委員は、「医師と医師の間、いわゆるDtoDで行う遠隔医療は、医師の偏在や働き方改革に対応するために、どんどん進めるべきだ。AIの活用も避けては通れない」と述べた。他方で、美容医療などの自由診療では不適切なオンライン診療が「野放しになっている」と問題視。糖尿病の治療薬をやせ薬として処方するなど、「国民の健康に悪影響が及ぼされる事態が起きている」と指摘した。
永井良三部会長は、「オンラインでは、例えば『AIがこう言う』などと、根拠のない医療が入り込む可能性がある。医療の質の担保が非常に重要だ」と発言した。