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#3 第3回年金部会・第6回経済前提専門委員会の議論を巡って①

権丈 善一(けんじょう よしかず) 
坂本 純一(さかもと じゅんいち)
玉木 伸介(たまき のぶすけ)
司会:年金時代編集部

※この記事は、2018年10月16日に「Web年金時代」に掲載されたものです。

第3回社会保障審議会年金部会が7月30日、また、7月12日には第6回社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提に関する専門委員会が開かれた。「居酒屋ねんきん談義」では、同企画発案者の権丈善一氏、おなじみの坂本純一氏、そして、今回新たに玉木伸介氏にご参加いただき、9月7日に年金部会および経済前提専門委員会での審議を巡り、ご議論いただいた。なお、企画終了後、出席者一同、企画タイトルにたがわぬよう、居酒屋に場所を移し、「ねんきん談義」を交わしたことは言うまでもない。

居酒屋で談義する左から坂本氏、玉木氏、権丈氏(撮影協力:神田 まる豚)

日本経済と社会の変化を長年にわたり見てきたことで検討作業班に貢献したい

権丈:それでは「居酒屋ねんきん談義」を始めましょう。年金時代も、ようやく企画名を「居酒屋ねんきん談義」と正式に承認したようですね。編集部内には、そんなふざけた名前でよいのかと抵抗があったんでしょうけど、あきらめましたか(笑)。

編集部:年金時代では、「居酒屋ねんきん談義」を連載企画と位置づけ、年金部会の開催や制度改正の動きに合わせて、年金制度改正についてご意見やお考えをお持ちの方々にお集まりいただき、ご議論の内容をWeb上に掲載していくこととしました。そこで、同企画の発案者である権丈さんには、タイトル名の「居酒屋」になぞらえて店主として、「ねんきん談義」を運営、仕切っていただくことにしました。

権丈:説明が硬いよ(笑)。こんなに正確に年金を語っている場は、日本中どこを探してもないんだから、名前は取っつきやすいほうがいいと思いますよ。では、始めましょう。

今回のテーマは「第3回年金部会・第6回経済前提専門委員会の議論を巡って」です。平成31年の財政検証に向けて、年金部会では2018年4月4日に第1回目が開催され、7月30日には第3回目が開催されています。また、経済前提専門委員会は年金部会の議論に先立ち、昨年2017年7月31日に第1回目が開催され、第6回目が2018年7月12日に開催されています。本日は、第6回経済前提専門委員会で、その専門委員会のもとに検討作業班が設置されることになったのですが、その座長に就任された玉木伸介さんにおいでいただいています。

玉木:玉木です。よろしくお願いします。

権丈:平成31年財政検証とそれに伴う年金制度改正を議論していく年金部会は、財政検証に用いる経済前提に依存し、さらにその経済前提の設定にあたっては、検討作業班において、「技術的な検討や具体的な作業を行う」とされています。そのような重要なポストに就任されることになった玉木さんのこれまでの経歴について、ご紹介いただきたいと思います。

玉木:私の年金とのかかわりは、比較的最近でして、1999年、平成11年です。そのとき勤務していた日本銀行から総合研究開発機構(NIRA)という内閣府のシンクタンクに出向しました。そこで公的年金積立金の運用に関する組織論やガバナンス論を研究したのが、年金にかかわる始まりです。その後、日本銀行での最後の仕事が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)への出向でした。そして、現職の大妻女子大学短期大学部に移ってからは、権丈さんや坂本さんにご薫陶いただき、今日に至っています。

こういう経緯を経て、今は経済前提専門委員会の委員として、また、このたびは検討作業班の座長として、公的年金にかかわるようになっています。

私にできることは何かということと関係するのですが、私が日本銀行に入ったのが、1979年、昭和54年でして、まだまだ高度成長期にありました。当時、大問題になっていたのはインフレーションや石油の確保で、国債の利回りは7%ぐらいがあたりまえという時代でした。そのあと、80年代後半にバブルになって、それが崩壊。金融システムがぐしゃぐしゃになって、人々が本当に不安な状態に置かれたわけです。そういった長い経済サイクルを見てきました。

玉木氏。

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