見出し画像

労働者協同組合という働き方|#9 労働者協同組合の退職金制度について

勝島 一(かつしま はじめ)/コア・コム研究所㈱主席フェロー

*この記事は2022年6月24日に「Web年金時代」に掲載されました。

前回は労働者協同組合における短時間労働者について取り上げました。今回は退職金制度について考えたいと思います。

退職金制度は従業員の老後資金を確保する手段として多くの会社で実施されています。高齢化社会において従業員が安心して働くために、退職金制度は今後さらに重要な役割を担うものと考えます。このことは労働者協同組合においても同様です。

退職金制度は公的年金とは違い、会社独自の制度ですので、退職金額の計算方法や退職金を支払うための勤務年数などの条件は会社ごとに異なります。労働者協同組合においても、それぞれの組合にて退職金額の計算方法や退職金を支払うための勤務年数などの条件を検討することになります。

本稿では、退職金制度と労働者協同組合の基本原理の1つである「組合員が出資すること」を関連させることにより、退職金制度の充実と組合員の出資インセンティブ向上の可能性について考えてみたいと思います。

退職金を「賃金の後払い」と捉えてみる

まず退職金の性格について考えてみます。退職金の性格には、賃金後払説、功績報償説、生活保障説など、考え方が諸説あり、会社によってその捉え方は異なります。ただし、企業会計では退職金に係る費用を認識する上で、その性格について考え方を整理しています。以下に会計基準を参照します。

ここから先は

1,955字 / 4画像

¥ 100

社会保険研究所ブックストアでは、診療報酬、介護保険、年金の実務に役立つ本を発売しています。