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老健施設の在宅復帰・在宅療養支援機能の一層の促進を求める意見相次ぐ(8月27日)

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は8月27日、令和3年度介護報酬改定に向けて、①介護医療院②介護療養型医療施設③介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)④介護老人保健施設─の4つについて検討した。当日の議論を3回に分けて紹介してきたが、今回は老健施設について取り上げる。

平成30年度介護報酬改定で、老健施設による、利用者の在宅復帰及び在宅療養を支援する機能を評価する見直しが行われたが、その取り組みを一層促進するように求める意見が相次いだ。


30年度改定による取り組みの検証を要請

介護老人保健施設は平成31年に前年より4施設減少し4285施設になったが、19年以降、増加傾向を示してきた。受給者は36万3千人。費用額は1兆3600億円。

平均要介護度は3.2と介護保険施設の中でも最も低い。在宅復帰を支援する中間施設であり、入所者の3割は家庭に復帰する。一方、特養や介護療養型医療施設は死亡退所が最も多く、特養では7割弱、介護療養型では5割弱に上る。

厚労省は、30年度改定を踏まえて、老健施設の在宅復帰・在宅療養支援機能をより強化する方策や、かかりつけ医との連携を含めた老健施設における医療、リハについてどのように考えるかに関して意見を求めた。加えて、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)と同様に、老健施設における安全・衛生管理体制、災害・感染症への対応を論点として示した。

在宅復帰・在宅療養支援機能の強化

老健施設は29年法改正により、「在宅復帰、在宅療養支援のための地域拠点となる施設」としての役割が明確化された。それを受け平成30年度介護報酬改定では、そうした機能を評価するものとして基本報酬の体系が大きく見直された。具体的に、在宅復帰などを一層促進していることを評価する「超強化型」が導入され、「在宅強化型」「加算型」「基本型」「その他型」と、5段階に設定された。

各類型の状況をみると、たとえば在宅復帰率の平均値では、超強化型が60.2%と最も高く、在宅強化型48.7%、加算型37.3%、基本型17.0%、その他型14.0%となっている。

◆かかりつけ医との連携の強化

30年度改定では、かかりつけ医との連携を促進し、本来なら不要な多剤の利用を見直すことを狙いとして、「かかりつけ医連携薬剤調整加算」が創設された。

ただ、算定は低調である。老健施設から退所した人の処方をみると、入所時より内服薬が1種類以上減ったのは11.3%と1割以上であるのに対し、同加算を算定した割合は0.8%に止まっていた。

算定しなかった理由は、入所前の医療機関の主治医との合意形成が困難であることが59.1%と最も多く、次いで退所時又は退所後のかかりつけ医との合意形成が困難であることが45.0%であった。

また、30年度改定では、所定疾患施設療養費も見直し、診断及び診断に至った根拠、診断を行った日、実施した投薬・検査・注射・処置の内容等を診療録に記載していることなどを要件にして評価を高めた「所定疾患施設療養費(Ⅱ)」を新たに導入した。

検査等は協力医療機関等と連携して行った場合も認められる。

しかし、療養費(Ⅱ)を算定していながら、検査を実施していないケースが肺炎で17%、尿路感染症で5%あった。是正が求められるであろう。

「超強化型」などの促進を求める声相次ぐ

意見交換で、日本医師会の江澤和彦委員は、老健施設について「前回改定がより老健施設らしくするための見直しであった」とし、取り組みを一層促進するように求めた。また各施設における訪問リハや地域貢献の取り組みも訴えた。

健保連の河本滋史委員は、「老健施設の在宅復帰・在宅療養支援機能をより一層強化していくために、今の超強化型・在宅支援型などの評価についてさらにメリハリをつけていくべき。財源は財政中立的に行うべき」と主張した。

日本経団連の井上隆委員も「超強化型に重点化していく必要があると思う」と述べた。

日本歯科医師会の小玉剛委員は、施設から在宅・家庭への円滑な復帰に向けて口腔ケアや口腔衛生管理を継続できる情報共有の仕組みづくりを要請した。

全国老人保健施設協会の東憲太郎委員は、超強化型や在宅強化型、加算型などの施設が6割になるなど、現場として在宅復帰・在宅療養支援機能を推進してきている状況を挙げ、評価を要請した。他方、訪問リハの併設は3割程度になることから、協会としても推進して行く考えを示した。

東委員は、「かかりつけ医連携薬剤調整加算」の算定が低調な背景に、老健施設から主治医等に連絡をとることに遠慮があることや、入所前と退所時の主治医等が同一ではないケースがあることを上げ、連携促進の工夫の必要を指摘した。

また所定疾患施設療養費の算定では帯状疱疹が少ない傾向を指摘し、「包括的支援」を評価するよう見直しを求めた。検査を行わずに療養費(Ⅱ)を算定している施設があることも問題視した。

他方、老健施設におけるリスクマネジメントについて、全老健が推進しているリスクマネジャーを紹介。2300名が活躍しており、導入した施設では「リスク管理に前向きになった結果が出ている」と述べた。

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