#23 がんによる障害年金請求
がんは、さまざまな部位に発症し、身体及び生命に重篤な症状をもたらす可能性がある非常に危険な疾患です。
しかし、障害年金請求においては、重篤な症状になる「可能性」があるというだけでは請求できません。がんによって、実際に身体のどこの部位が機能しなくなっているのかが重要になります。
従って、仮に余命宣告をされていたとしても、まだ具体的に身体の機能的な障害が出現していない場合は、障害年金を請求しても不支給になる可能性が高いのです。
こうしたことから、がんによる障害年金請求は、その傷病名や進行度合い(ステージ)ではなく、実際に身体の機能がどのくらい低下していて、それが労働や日常生活にどの程度悪影響を与えているかに注目する必要があります。
がんによる障害年金請求の代表的な例は次の通りです。
① 咽頭がんにより、咽頭を全摘出したため、喋ることができなくなった場合。
② 直腸がんにより、腸を切除したため、排せつができなくなり人工肛門を造設した場合。
③ 肺がんにより、間質性肺炎の症状が出現したため、在宅酸素療法を開始した場合。
④ 膀胱がんにより、尿の排せつができなくなったため、尿路変更術または新膀胱造設をした場合。
⑤ 全身の衰弱により、労働または日常生活が困難になった場合。(これには、治療の効果として起こるものも含む。)
上記①~④のいずれかに該当すれば、障害等級3級以上(①の場合は2級以上)に認定されます。⑤の場合に関しては、その状態の重たさによって審査されますので、必ずしも障害等級が認定されるわけではありませんが、①~④のように特定の処置をしないがんの場合は、多い請求事例です。
今回は、上記②の例にもある直腸がんによる請求事例から、がんによる障害年金請求の難しさを検証していきたいと思います。
今回も日付が複数出ていますので、下の図1で整理します。
人口肛門を造設していますので、障害等級3級以上に認定されます。「以上」とありますが、現在も、在職していますので、恐らく上位等級にはならず3級で認定されるでしょう。
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