介護保険部会が給付と負担の見直しの議論を再開 利用者負担のあり方年内に結論(2023年7月10日)
社会保障審議会介護保険部会は7月10日、給付と負担の見直しの議論を半年ぶりに再開した。利用者負担や第1号保険料負担のあり方について意見を交わした。年内を目途に結論をまとめる方針だ。
介護保険部会は昨年12月に意見書をまとめ、利用者負担の「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準や第1号保険料負担のあり方、多床室の室料負担については今年の夏までに結論を得るべく議論するとの方向を示した。
一方、今年6月の「骨太の方針2023」では「介護保険料の上昇を抑えるため、利用者負担の一定以上所得の範囲の取扱いなどについて検討を行い、年末までに結論を得る」と明記された。
厚労省は、「今の段階で負担面の結論を先に出すことは難しいため、報酬改定とセットで議論しなければいけないとの判断から骨太の方針の結論になった」とした。
利用者負担の見直しにあたっては、昨年の家計調査を踏まえ、年収別モデルを提示(下図)。75歳以上の単身世帯の2割負担の現行基準上位20%にあたる年収280万円をみると、収支は+22万円となった。一方、後期高齢者医療の2割負担と同じ考え方の上位30%に該当する年収220万円では、収支は+9万円となることを示した。
第1号保険料は低所得者に配慮し、保険者が段階的に設定。多くの保険者で標準の9段階を超える設定がなされていることを踏まえ、さらなる多段階化を求めた。
委員からは、負担能力に応じた見直しに賛同する意見が出る一方、物価高騰が続くなかでの負担増に対しては慎重な検討を求める声が多く出た。
第9期計画の基本指針を了承、初めてヤングケアラーの支援を明記
一方、部会では令和6度から始まる第9期介護保険事業計画の「基本指針」を大筋で了承した。
今回の基本指針では、医療計画との整合を図るため、地域医療構想調整会議の結果を共有することが重要である旨を追記している。地域包括ケアシステムの構築に向けては、重層的支援体制整備事業等により他分野との連携促進を図っていくことが重要である旨を記載した。
介護に取組む家族等への支援の充実では、初めてヤングケアラーへの支援を明記。ヤングケアラーも含めた家庭における介護の負担軽減のための取組を進める重要性を追記している。
先月国会で成立した認知症基本法も指針に反映させた。施行に向けて、国が今後策定する認知症施策推進基本計画の内容を踏まえて施策を推進していく必要があることも盛り込んでいる。