全世代型改革の方針「日医の意見を踏まえたものに」(12月16日)
日本医師会の中川俊男会長は12月16日の会見で、同15日に閣議決定された「全世代型社会保障改革の方針」について「日医の意見を踏まえたものとなった」と評価した。
後期高齢者の窓口負担割合では、「日医としては、できるだけ2割負担となる対象範囲をせばめるよう求めてきた。われわれの思いとは少し離れているものの、高齢者の負担に配慮した仕組みになるよう、引き続き要望していきたい。具体的には多くの疾患を持つ高齢者の受診が費用負担の面から抑制されることのないように工夫してほしい」と述べた。
紹介状なしで外来受診した場合の定額負担の病院の対象範囲拡大については、対象となる「紹介患者への外来を基本とする医療機関」は今後、厚労省の審議会等で議論されることを指摘し、「病院団体ともしっかり連携し、地域医療に混乱をもたらさないように取り組んでいきたい」と述べた。再診時の定額負担については、「極めて少ないため、徴収の強化を主張している。ぜひとも実効性を担保してほしい」と求めた。
不妊治療への保険適用については、「来年夏ごろまでに学会のガイドラインを完成させた後、来年いっぱい中医協で議論されることになっている。今後、しっかりと議論していきたい」と述べた。
今後の社会保障制度の議論については、「財政面から保険給付を狭めるような議論ではなく、いかに国民の健康を守るかという視点からの議論をしていただきたい」と要望した。具体的には、「以前からの日医の主張でもあるが、公的医療保険制度における被用者保険と地域保険の一元化など抜本的改革の議論をしてほしい」と述べた。
一方、新型コロナウイルス感染症の新規感染者が全国的に増加していることについて、国民に対し改めて感染防止対策の徹底を呼びかけた。
「新型コロナに年末年始はない」と訴えた上で、忘年会やクリスマスのシーズンであることに触れ、「パーティーなどで人が大勢集まって盛り上げることは、年末年始のさらなる感染者の急増につながる。今年は静かなクリスマス、サイレントナイトでお願いしたい」と求めた。
また、今年1年を漢字一文字で表すとしたら何かの問いに対し、「日医は『命』にした。新型コロナに対して、全国の医療従事者が命がけて国民の命を守っている。国民も今回の新型コロナの拡大によって、命のことを改めて考え直すきっかけになったのではないか。日医は、今後も国民の命をしっかり守ることを改めて決意し、覚悟した」と述べた。