リハ提供体制の構築に向けた手引き案などを概ね了承(6月29日)
厚労省は6月29日、「要介護者等に対するリハビリテーションサービス提供体制に関する検討会」(田中滋座長)に、報告書案と「介護保険事業(支援)計画における要介護者等に対するリハビリテーションサービス提供体制の構築に関する手引き」案を示し、意見を求めた。リハビリテーションの定義の修正を求める意見などが出されたが、修正は座長預かりとなり、概ね了承された。7月以降、報告書は公表されるとともに、報告書と手引きは各自治体に示される予定だ。
リハビリテーション指標を活用して計画策定を促進
各地域における、切れ目のないリハビリテーションサービスを提供する体制の構築が課題である。
来年4月からの第8期介護保険事業(支援)計画において、国が示すリハビリテーション指標を参考に具体的な取り組みと目標を記載するとともに、介護保険で実施するリハビリテーションサービスの見込み量を推計し、地域の実情に応じた施策を進めることを厚労省は各自治体に求めていく。
検討会では、そのための指標と計画策定の参考となる手引きについて4月から4回にわたり協議を重ねてきた。
指標は前回会合で概ね了承されていた。指標の対象は、具体的に老健施設及び介護医療院、通所リハビリ、訪問リハビリの4サービス(老健施設及び介護医療院は短期入所療養介護を含む)。また指標は、ストラクチャー指標とプロセス指標を定めることとされ、アウトカム指標は考え方の提示と例示に止め、定めることは今後の課題とされた。
ストラクチャー指標は、①サービス提供事業所数②定員数③リハ専門職の従事者数④サービス提供事業所数─の4項目とした。
プロセス指標については①利用率②定員当たり利用延べ人数③通所リハビリテーション(1時間以上2時間未満)の算定者数④リハビリテーションマネジメント加算Ⅱ以上の算定者数⑤短期集中(個別)リハビリテーション実施加算算定者数⑥認知症短期集中リハビリテーション実施加算算定者数⑦個別リハビリテーション実施加算算定者数⑧生活機能向上連携加算算定者数⑨経口維持加算算定者数─の9項目を定めた。
その他、ストラクチャー指標とプロセス指標では、検討過程で採用されなかった各5項目を参考指標として示した。
アウトカム指標の考え方としては、①生活期リハビリテーションは活動・参加の拡大を目指すこと②地域共生③本人の尊厳④生活の維持向上⑤保険者機能強化推進交付金及び介護予防の成果のイメージ等の既存の項目を参考にする─を挙げた。
例示では、①主観的幸福感、健康観②社会参加への移行③ADL(Barthel Index、Functional Independence Measure)の変化度④IADL(Frenchay Activities Index)⑤障害高齢者の日常生活自立度─を挙げた。
手引き案では、こうした指標を用いて現状の把握と評価(確認)を行う、PDCAサイクルに基づいた計画策定を進めることを提示。計画策定後にも実施状況を評価して、より効果的な取り組みを推進する改善方法の検討を求めている。その他、計画策定における関係者間の議論のため基本的な用語の定義なども示した。
また報告書案では、用語の定義や指標とともに、検討の背景や経緯などを示した。
意見交換では、用語の定義で紹介されていた、WHOのリハビリテーションの和訳の不備などが指摘された。これを受け厚労省は、別の和訳を探すことや別の和訳がない場合は原文をそのまま表記するなど、記載について見直すことを説明。こうした修正は田中座長と厚労省で相談して進めることとされ、手引き案や報告書案はおおむね了承された。