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総合事業の弾力化などの実施に向け改正省令を公布(10月22日)

厚労省は10月22日、介護保険法施行規則の一部を改正する省令を公布した。

改正では、介護予防・日常生活支援総合事業の弾力化を図ることや在宅医療・介護連携推進事業の見直しを行う。施行は令和3年4月1日から。

総合事業の弾力化は、介護保険部会意見書を踏まえた改正。対象者とサービス価格の上限の弾力化を図る。対象者については要介護になる前に、総合事業の住民主体のサービスなど市町村の補助により実施されるサービスを継続的に利用していた居宅要介護被保険者を追加する。このことで介護給付を受けつつ、住民主体のサービスも利用を継続できるようにする。対象者の弾力化の実施は市町村の判断による。また同事業のサービス価格の上限を弾力化し、国が定める額を踏まえて市町村が定めることとする。

厚労省は総合事業の円滑な実施を図るための指針や総合事業のガイドライン、地域支援事業実施要領も必要な見直しを行う予定だ。

在宅医療・介護連携推進事業については、改正前に8項目で規定されていた事業内容を次の4項目に整理。

① 必要な情報の収集、整理及び活用、課題の把握、施策の企画及び立案、医療・介護関係者に対する周知を行う事業
② 地域の医療・介護関係者からの在宅医療・介護連携に関する相談に応じ、必要な情報の提供及び助言そのほか必要な援助を行う事業
③ 在宅医療・介護連携に関する地域住民の理解を深めるための普及啓発を行う事業
④ 医療・介護関係者間の情報の共有を支援する事業、医療介護課県警者に対して、在宅医療・介護連携に必要な知識の習得及び当該知識の向上のために必要な研修を行う事業その他の地域の実情に応じて医療・介護関係者を支援する事業

従前あった「他の市町村との広域的な連携に資する事業」は無くなり、市町村間連携については都道府県が支援する。また一部の事業内容は、地域の実情に応じて実施しないことを認めるなど、柔軟な実施を可能にする。

総合事業の対象者の弾力化は「選択肢の幅を広げるもの」

改正省令の公布と合わせて、厚労省は省令改正案のパブリックコメントで寄せられた意見に対する考え方を22日に公表した。今回の総合事業の対象者の弾力化について「要介護者が介護給付を受けられなくなる」などの誤解に基づく批判も上がっていた。

厚労省は、今般の見直しにより、要介護者の介護給付を受ける権利には全く変更がないことを強調。住民主体サービスを継続的に利用することを希望する要介護者(継続利用要介護者)について、「本人の希望を踏まえて、介護保険の給付が受けられることを前提としつつ、住民主体のサービスを継続して利用できるようにし、選択肢の幅を広げるもの」と説明している。

パブリックコメントでは、「要介護5まで弾力化の対象とするのはおかしいのではないか」との指摘も寄せられた。それに対して厚労省は次のように回答している。

「継続利用要介護者の住民主体のサービス利用は、ケアマネジメントを通じ、本人の希望を踏まえて、当該サービスを継続的に利用することが適切である場合にサービス提供が行われるものであり、その必要性は個別に判断されるものであるため、介護度で限定することとはしておりません」

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