医療法改正案を国会に提出(3月10日)
政府は3月10日の閣議で、医療法等改正案を決定し、国会に提出した。特定機能病院のガバナンスの強化や医療広告の見直しなどを盛り込んでいる。
法案の概要は、◇検体検査の精度の確保◇特定機能病院の見直し◇医療の広告規制の見直し◇持分なし医療法人への移行計画認定制度の延長◇その他―としている。
検体検査は、ゲノム医療の実用化の観点から、医療機関や検体検査業務を受託する者に対し、検体検査の精度確保の義務を明確化するとともに、検査分類を柔軟に見直すことができるよう規定する。特定機能病院は、東京女子医大や群馬大の事件を受け、ガバナンス強化として管理・運営体制を見直す。開設者に対し、病院の管理運営の重要事項を合議体の決議に基づき行うことや、適切な管理者の選任、監査委員会の設置等の措置を講じることを義務付ける。医療広告の見直しでは、美容医療サービスなどの消費者トラブルの増加を踏まえ、医療機関のウェブサイトなどの虚偽または誇大等の不適切な内容を禁止する。
持分なし医療法人への移行計画認定制度の延長については、平成29年度税制改正大綱で制度の3年間の延長と移行の際の法人への贈与税の非課税が実現したことを踏まえ、移行計画の認定要件を見直した上で、認定を受けられる期間を32年9月30日まで3年間延長する。
そのほか、医療法人と同様に都道府県知事等が医療機関の開設者の事務所にも立入検査を行う権限等を創設する、助産師に対し妊産婦の異常時に対応する医療機関等に関する説明を義務化することなどを盛り込んだ。
一方、すでに国会に提出されている介護保険法等改正案により、介護療養病床の見直しに伴う医療法改正が予定されている。医療法改正事項は、①介護医療院を医療提供施設として位置づける、②介護医療院を医療法人の業務範囲に追加、③医師の宿直規定の見直し、④医療機関から介護医療院に転換する場合の名称の特例、⑤基準病床制度における取扱い。
医師の宿直規定の見直しは、併設病院の医師が介護医療院の入所者に対し、夜間・休日等の対応を行うことを可能とする。名称の特例は、病院または診療所から介護医療院に転換する場合は、引き続き、病院または診療所と名乗れる経過措置を設ける。基準病床数の取扱いは、病院または診療所から転換した介護医療院については、第7次医療計画の計画期間中は入所定員を病床数とみなして既存病床数を算定する経過措置を設ける内容。