労働者協同組合という働き方|#10 労働者協同組合の意見反映原則について
意見反映原則とは「その事業を行うに当たり組合員の意見が適切に反映されること」というものですが、これを実現するには2つのステップがあると考えます。最初のステップはそれぞれの組合員の意見を適切に収集すること、次のステップは収集した意見を適切に事業に反映することです。
本連載の#1で2つ目のステップに関するものを取り上げていますが、今回は1つ目のステップである「それぞれの組合員の意見を適切に収集すること」について考えてみたいと思います。
それぞれの組合員の意見の適切な収集について
労働者協同組合では、定款に「組合員の意見を反映させる方策に関する規定」を記載することとされています(労働者協同組合法第29条)。これについては、厚生労働省による特設サイト「知りたい!労働者協同組合法」で次のように説明されています。
『組合の基本原理の一つである意見反映原則を担保する趣旨です。組合員それぞれの意見をどのように集めるのか、出てきた意見はどう集約していくのかといった点について、各組合の状況を踏まえて定めることが想定されます。例えば、会議において意見を集約するのであれば、開催方法、開催の時期・頻度、最終的な意思決定の方法などが、日常的に意見を集約するのであれば、意見箱の設置などその具体的な方法が定款に記載されることが期待されます。』
ここでは意見収集の方法について、会議による方法、意見箱の設置による方法が例示されています。ただし単に、会議を開いただけ、意見箱を設置しただけでは意見が集まらないことも考えられます。私はそれらがきちんと機能するように各組合が状況を踏まえて工夫することが肝要と考えます。
意見が出にくい場合の原因及び改善策は様々あると思いますが、状況によっては匿名とすることが有効な場合もあると考えます。会議で手を挙げて発言する、意見箱へ記名により投書する、などに抵抗がある場合は、匿名とすることにより抵抗感が減少し意見が出やすくなることもあろうかと思います。
アンケートにより組合員全体の考えを把握する場合など、匿名であっても意見収集の支障とならない場合は、匿名による方法を検討する価値があるものと考えます。次の段落では、アンケートによる意見収集方法を例に取り、意見の出やすい状況を作り出す工夫について考えてみたいと思います。
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