令和5年4月に見直された「年金受給選択申出書」の運用
公的年金には老齢、遺族、障害を支給事由とした給付があり、1人1年金が原則です。ただし、65歳以降は支給事由の異なる2つ以上の年金を同時に受給できる場合もあります。
年金の選択あたっては、「年金受給選択申出書」(以下、「選択届」)を年金事務所等に提出しますが、令和5年4月、この選択届の運用の一部が見直されました。
年金受給選択申出書の様式
「年金受給選択申出書」には2種類あり、すべての年金が日本年金機構から支払われる場合には 「年金受給選択申出書」(様式第201号)を使用します。年金の支払いが日本年金機構と共済組合等との組合せの場合には 「年金受給選択申出書」(様式第202号)を使用します。
令和5年4月以降の取り扱い
――障害基礎年金と老齢厚生年金を併給する場合の選択届の省略
障害基礎年金の受給者が65歳以降に老齢厚生年金を併給する場合に限り、令和5年4月から老齢厚生年金を選択する「選択届」の提出は必要なくなりました。
障害基礎年金(および障害厚生年金)の受給者に老齢年金の受給権が発生した場合、65歳以降は下図の①から③の組合せが可能となっています。③の障害基礎年金と老齢厚生年金の併給を選択する場合、従来、65歳時点で障害基礎年金と老齢厚生年金の併給を選択する旨の選択届を提出する必要がありました。
令和5年4月からは、この選択届は不要になりました。
ただし、65歳時に選択届を省略できるのは、65歳前に特別支給の老齢厚生年金(以下、「特老厚」)の受給権が発生し、このときに障害基礎年金を選択して、特老厚が支給停止となっていたときです。
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