国の年金の支給開始年齢と繰上げ・繰下げ受給【試し読み公開中】
『今日から始める!ライフプラン』(社会保険研究所刊/A4判・本文80頁)はライフプラン作りのノウハウが詰まったテキストとして、また退職準備に必須の年金や雇用保険、健康保険等社会保険の給付・手続きがわかる手引書として、セミナーを主催する公的機関や企業の担当者、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの皆さまにご採用いただき、ライフプランの最初の一歩を踏み出す皆さまにご好評をいただいています。
感謝をこめて、『今日から始める!ライフプラン』令和5年度版から、「国の年金の支給開始年齢と繰上げ・繰下げ受給」の試し読みを以下に公開いたします。
国の年金の支給開始年齢と繰上げ・繰下げ受給
国の年金の支給開始年齢と受けられる年金は、性別・生年月日に応じて下図のとおりです。
年金の繰上げ受給
支給開始年齢前でも、60歳以後の希望する年齢から、年金を繰り上げて受給することができます。ただし、繰り上げた期間に応じて年金額が減額(繰上げ1ヵ月につき0.4%)され生涯、減額されたままとなります。
報酬比例部分の支給開始年齢が61歳以降の人が繰り上げる場合は、老齢基礎年金も同時に繰上げ受給することになります。
繰上げ請求後に障害の状態になっても、障害基礎(厚生)年金は受給できません。
配偶者が亡くなり遺族厚生年金を受けられる場合は、64歳までは遺族厚生年金か繰り上げた老齢年金いずれかを選択して受給します。遺族厚生年金と老齢年金の併給は65歳になるまで行われません。
年金の繰下げ受給
65歳から受ける老齢厚生年金・老齢基礎年金は、受給開始を66歳以降に繰り下げることができます。その場合、繰り下げた期間に応じて年金額が増額(繰下げ1ヵ月につき0.7%)されます。繰下げは ①老齢厚生年金のみ、②老齢基礎年金のみ、③老齢厚生年金と老齢基礎年金、いずれでも可能です。
なお、70歳以上80歳未満で年金を請求し、かつ繰下げ受給ではなく本来の支給開始年齢からの年金受給を選択した場合は、5年前に繰下げの申し出があったものとみなして、増額された年金が支給されます(昭27.4.2以降生まれに適用)。
※75歳以降に繰下げ請求をした場合は、75歳にさかのぼって年金が支給されます。
年金の繰上げ受給・繰下げ受給の例
①通常の受給
老齢厚生年金・老齢基礎年金を65歳から受け始める
②繰上げ受給
老齢厚生年金・老齢基礎年金の受給を5年繰り上げて60歳から受け始める
本来65歳から受ける老齢厚生年金と老齢基礎年金の受給を5年繰り上げて60歳から受けた場合は、年金額が24%(0.4%×60月)減額されます。この事例では、100万円の老齢厚生年金は76万円に、70万円の老齢基礎年金は53万2,000円に減額されます。
③繰下げ受給
老齢厚生年金・老齢基礎年金の受給を5年繰り下げて70歳から受け始める本来65歳から受ける老齢厚生年金と老齢基礎年金の受給を5年繰り下げて70歳から受けた場合は、年金額が42%(0.7%×60月)増額されます。この事例では100万円の老齢厚生年金は142万円に、70万円の老齢基礎年金は99万4,000円に増額されます。
※令和4年4月から、繰上げ受給の減額率が1ヵ月当たり0.4%に緩和されました(昭37.4.2以降生まれに適用。昭37.4.1以前生まれの減額率は0.5%)。
※令和4年4月から、繰下げ受給の上限年齢が75歳に引き上げられました(昭27.4.2以降生まれに適用。昭27.4.1以前生まれの上限年齢は70歳)。
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