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訪問系サービスで在宅の看取り期の対応や医療の必要性が高い利用者への支援を充実──令和3年度介護報酬改定

令和3年度介護報酬改定では、訪問系サービスでも在宅の看取り期における対応や、医療の必要性が高い利用者への支援を充実させていく。

訪問介護では看取期のいわゆる「2時間ルール」を弾力化する。また通院等乗降介助をより使いやすく見直す。

訪問看護では、主治の医師が認めた場合に退院直後の報酬算定を可能とする。訪問リハビリテーションでも退院後のリハの回数を増やす。薬局の薬剤師による居宅療養管理指導では、情報通信機器を使った場合の指導も導入する。

参考:障審議会介護給付費分科会(1月18日)


訪問介護

看取り期の2時間ルールを弾力化

看取り期には頻回な訪問介護が必要とされるとともに柔軟な対応が求められることを踏まえ、2時間未満の間隔で訪問介護が行われる場合、所要時間を合算して報酬を算定する「2時間ルール」の運用を弾力化する。2時間未満の間隔で訪問介護が行われた場合、所要時間を合算せずにそれぞれの所定単位数を算定できるようにする。関係通知を改正する。

通院等乗降介助の見直し

通院等乗降介助について、病院等から病院等など目的地が複数でも居宅が始点又は終点となる場合は同一の事業所が行うことを条件に算定を可能とする(99単位/片道)。関係通知を改正する。

通所系・短期入所系サービス事業所を利用して、病院等に移送する場合も同様の条件で算定を可能とする。この場合、通所系・短期入所系サービス事業所は送迎を行わないことから、通所系サービスでは送迎を行わない場合の減算が適用される。短期入所系サービス事業所は送迎を行う場合の加算は算定できない。

特定事業所加算の見直し

勤続年数が一定期間以上の職員の割合を要件とする新たな特定事業所加算(Ⅴ)を新設する。所定単位数の3%を加算する。職員の定着を図る狙いがある。

人材要件として、訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の者が占める割合が30%以上であることを設定する。体制要件は現行の加算(Ⅰ)~(Ⅲ)と同様だ。体制要件の1つで求めている「利用者に関する情報又はサービス提供に当たっての留意事項の伝達等を目的とした会議の定期的な開催」は、テレビ電話等のICTの活用で実施することも可能とする。

認知症専門ケア加算の見直し

認知症専門ケア加算について、訪問介護・訪問入浴介護・夜間対応型訪問介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護に新設する。加算(Ⅰ)は3単位/日、加算(Ⅱ)は4単位/日とする。

算定要件の1つである認知症ケアに関する専門研修修了者の配置について、関係団体の研修を修了するなどした認知症ケアに関する専門性の高い看護師を対象として加える。この見直しは、通所介護等の認知症加算でも行う。関係通知を改正する。

訪問看護

主治の医師が認めた場合は退院当日の訪問看護費の算定も可能に

医療機関・老健施設・介護療養型医療施設・介護医療院から退院又は退所した日について、在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている状態など厚生労働大臣が告示で定める状態の利用者に加え、主治の医師が必要と認めた利用者に訪問看護費を算定できることとする。短期入所療養介護の終了日(退所・退院日)も同様の扱い。

看護体制強化加算の見直し

看護体制強化加算について、算定要件や単位数を見直す。

算定要件の見直しは次のとおり(介護予防も同様)。

▽算定日が属する月の前6月間において、利用者の総数のうち、特別管理加算を算定した利用者の占める割合を30%から20%に緩和する。

▽(介護予防)訪問看護の提供にあたる従業者の総数に占める看護職員の割合が6割以上とする要件を設定する(令和5年4月1日施行)。

5年3月末日時点で看護体制強化加算を算定している事業所では、急な看護職員の退職などで看護職員6割以上の要件を満たせなくなった場合は、指定権者に定期的に採用計画を提出することで、採用されるまでの間は同要件の適用を猶予する。

リハ専門職の訪問看護を適正化

訪問看護ステーションで理学療法士などのリハ専門職が行う訪問看護や介護予防訪問看護の評価や提供回数を見直す。まず理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問について4単位引き下げる(訪問看護297単位→293単位、介護予防訪問看護287単位→283単位)。

またリハ専門職が1日2回を超えて介護予防訪問看護を行った場合の評価を現行の90%から50%に引き下げる。

さらにリハ専門職が12月を超えて介護予防訪問看護を行った場合は1回につき5単位を減算する(新設)。

リハ専門職が行う訪問看護については、訪問リハと同様に「通所リハビリテーションのみでは家屋内におけるADLの自立が困難である場合」とすることを追加する。

訪問リハビリテーション

退院・退所直後のリハの充実

訪問リハは1週に6回を限度として算定が認められているが、退院・退所直後のリハを充実する観点から、退院・退所の日から起算して3月以内の利用者に対して週12回まで算定を可能とする。関係通知を改正する。

その他、通所リハと同様に、リハビリテーションマネジメント加算を見直す。

事業所医師が診療しない場合の減算を強化

訪問リハのリハ計画書の作成にあたり事業所医師が診療せずに「適切な研修の修了等」をした事業所外の医師が診療した場合の減算について、減算を大きくする(▲20単位/回→▲50単位/回)。 他方、業所外の医師に求められる「適切な研修の修了等」について令和3年3月31日までとされている適用の猶予措置期間を3年間延長する(6年3月31日まで)。

訪問入浴介護

初回加算の新設

新規利用者の初回加算を新設する(200単位/月)。新規利用者の居宅を訪問し、浴槽の設置場所や給排水の方法の確認などサービス利用に関する調整を行った上で、訪問入浴介護を行う場合、初回の実施日に算定する。 」

また全身入浴が困難で利用者の希望により清拭又は部分浴を実施した場合の減算幅を軽減する(▲30%/回→▲10%/回)。実際の準備・手間等がかかることを踏まえた見直し。

居宅療養管理指導

単一建物居住者の人数に応じた評価の見直し

居宅療養管理指導について、サービス提供の状況や移動時間、滞在時間等の効率性を踏まえ、単一建物居住者の人数に応じた評価を見直す。単一建物居住者が10人以上の場合は一部を除き、単位数が引き下げられる。

情報通信機器を使った服薬指導を評価

薬局の薬剤師による居宅療養管理指導について、診療報酬での対応も踏まえて、新たに情報通信機器を用いた服薬指導の評価を設定する(45単位/回)。算定は月1回までとする。 対象は、在宅時医学総合管理料に規定する訪問診療の実施に伴い、処方箋が交付されているとともに居宅療養管理指導費が月1回算定されている利用者。薬機法施行規則及び関連通知に沿って実施することや、訪問診療を行った医師に対して、情報通信機器を用いた服薬指導の結果について必要な情報提供を行うことが求められる。

外部の管理栄養士による指導を評価

管理栄養士による居宅療養管理指導について、当該事業所以外の医療機関や介護保険施設、「栄養ケア・ステーション」の管理栄養士が実施する場合の区分を新設する。介護保険施設では、常勤で1以上又は栄養マネジメント強化加算の算定要件の数を超えて管理栄養士を配置している施設に限る。

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