実務サポート 年金手続update 無料版 #6~#9
(こちらは2022年7月12日~11月15日に「Web年金時代」に掲載したものです)
#6 令和4年4月に導入された在職定時改定制度
令和4年4月から、在職中でも就労した効果を年金額に反映して年金受給者の経済基盤の充実を図る観点から、「在職定時改定制度」が導入されました。今回はこの制度のしくみを確認し、また在職定時改定による加給年金額・振替加算への影響について、見ていきます。
在職定時改定制度のしくみ
昨今、65歳以降も年金を受給しながら会社に勤務する人が増えています。65歳以降に老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険に加入した場合、その加入期間も老齢厚生年金の額に反映されます。従来は、厚生年金保険の被保険者資格の喪失時(退職または70歳到達時)に年金額が改定され、65歳以降の加入期間分が年金額に反映されていました。
令和4年4月に在職定時改定制度が導入され、退職や70歳到達を待つことなく、65歳以降に厚生年金保険に加入した分が、毎年、受給中の老齢厚生年金に反映されることになりました。具体的には、毎年、65歳以上70歳未満の老齢厚生年金受給者が9月1日(基準日)に厚生年金保険の被保険者である場合に、前年9月から当年8月までの加入期間分が、10月分(基準日の属する月の翌月)から年金額に反映されます。
改正初年度の令和4年10月分の年金については、65歳以降、厚生年金保険に加入していた期間(65歳到達月から令和4年8月まで)を一括して、年金額が改定されます。このため、給与や賞与(総報酬月額相当額)が変わらなくても、年金額(基本月額)が上がると、在職老齢年金のしくみにより年金の一部または全部が停止となる可能性があります。
なお、在職定時改定は、特別支給の老齢厚生年金や65歳前に繰り上げた老齢厚生年金、70歳以降の老齢厚生年金には適用されません。また、繰下げ待機中の場合(繰下げ受給を希望しており、老齢厚生年金を受給していない状態)についても、適用されません。
また、資格喪失時(退職または70歳到達時)の年金額の改定は、従来どおり行われます。退職した場合は、退職して1カ月を経過したときに、退職した翌月分の年金額から改定されます。退職して1カ月以内に再就職し、厚生年金保険に加入したときは、年金額は改定されません。70歳に到達したときは、70歳に到達した月の翌月分の年金額から改定されます。
在職定時改定と加給年金額・振替加算について
加給年金額が加算されるには、厚生年金保険の加入期間が240月以上あることが必要です。逆に、振替加算は、厚生年金保険の加入期間が240月以上になると、支給停止となります。65歳以降に厚生年金保険の加入期間が240月に達した場合、従来は、資格喪失時(退職または70歳到達時)まで、それが加給年金額や振替加算に反映されませんでした。
今回、在職定時改定制度が導入されたことで、資格喪失時に加え、毎年の在職定時改定時に厚生年金保険の加入期間が見直され、それが加給年金額や振替加算に反映されることになります。
在職定時改定により加給年金額が加算されるとき
65歳時点で厚生年金保険の加入期間が240月*未満の老齢厚生年金受給者が、在職定時改定時に加入期間が240月以上となり、次の①②両方を満たすと、加給年金額が加算されます。
*240月には共済組合の加入期間も合算されます。
①老齢厚生年金の報酬比例部分 **が支給されている(在職による全額停止がされていない)
②生計を維持している65歳未満の配偶者、または18歳到達年度末までの子もしくは20歳未満の障害の状態の子がいる
**老齢厚生年金の経過的加算のみ支給されている場合は加給年金額は加算されません。
加給年金額を受けるには、「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」(様式第229号)に戸籍謄本等必要書類を添えて、年金事務所等に届出ます。
なお、繰下げ待機中は在職定時改定が適用されないため、途中で加入月数が240月以上となっても改定(加入期間の見直し)はありません。従来どおりに資格喪失の時点で(退職または70歳到達時)加給年金額の要件(前述の①②)を満たせば、その時点から加算開始となります。
ただし、繰下げ待機中であっても、もしも在職定時改定の適用を受ければ、240月の加入期間を満たして加給年金額を受給できるのであれば、今後の受給方法について年金事務所で相談されるようお勧めします。①在職老齢年金による老齢厚生年金の支給停止があるか(ある場合は一部か全部か)、②加給年金額と繰下げ増額分のどちらが有利か、③配偶者への振替加算の有無などにより、すぐに年金を請求することも視野に入れ、より有利な受給方法を検討する余地があります。
在職定時改定により振替加算が停止されるとき
65歳時点で厚生年金保険の加入期間が240月未満で振替加算を受給していた人が、在職定時改定により加入期間が240月を超えてしまうと、その時点から振替加算を受給できなくなります。
従来は70歳前や退職前に240月を超えても、70歳に到達または退職し、厚生年金保険の被保険者資格を喪失するまでは振替加算を受給できました。しかし、在職定時改定により240月を超えると、その時点から振替加算を受給できなくなります。
在職定時改定により振替加算がつくとき
65歳以上の老齢厚生年金受給者が在職定時改定により加入期間240月以上を満たしたとき、年上の配偶者(65歳以上)が次の①②両方を満たせば、その時点から配偶者の老齢基礎年金に振替加算が加算されます。
①老齢厚生年金受給者に生計を維持されている年上の配偶者(65歳以上)
②配偶者(65歳以上)の厚生年金保険の加入期間が240月未満
その際、老齢厚生年金受給者本人の老齢厚生年金が在職老齢年金のしくみにより全額停止されていても、配偶者の振替加算の請求は可能です。
配偶者が振替加算を受けるには、「国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当届」(様式第 222 号)に戸籍謄本等必要書類を添えて、年金事務所等に届出ます。
#7 特定技能外国人を受け入れる際の「社会保険料の納付状況の確認書類」
少子高齢化により、人手不足が顕著な特定産業分野の人材確保に応えようと、2019年4月に「特定技能制度」が創設されました。令和4年6月末現在、87,000人余りの特定技能外国人が在留しています。
新型コロナウイルス感染症により、一定の国・地域に滞在歴がある外国人は入国できませんでしたが、法務省と関係省庁が協議の結果、令和4年9月4日から、その地域の外国人の入国を受け入れると発表されました。過去にも一度取り上げましたが、特定技能外国人の受入れの際の届出について、再度、見ていきたいと思います。
特定技能外国人の受入れ企業や個人事業主の方には、雇用契約や受入れの状況に関する届出が義務付けられており、出入国在留管理庁(または地方出入国在留管理局)に各種届出を行う必要があります。
その届出の際、社会保険の法令を遵守している企業であることを示すために、「社会保険関係の保険料の納付状況を確認できる書類」が必要となります。この書類は、日本年金機構から取り寄せます。
また、外国人本人が在留資格を変更したり更新したりする際、地方出入国在留管理局へ許可申請を行いますが、この際にも、本人の社会保険関係の保険料の納付状況を確認できる書類が必要となります。企業等と同様に、日本年金機構から取り寄せます。
社会保険料の納付状況を確認できる書類の申請方法
日本年金機構から書類を取り寄せるには、交付申請を行います。申請書を日本年金機構に直接郵送するか、最寄りの年金事務所へ提出します。
<日本年金機構 送付先>
〒182-8530 東京都調布市調布ヶ丘1-18-1 KDX調布ビル3階
日本年金機構 納付記録交付担当係 宛
日本年金機構へ郵送した場合は、受付後4営業日程度で書類が交付されます。最寄りの年金事務所へ提出した場合、原則、窓口では交付されず、日本年金機構から事業主や本人の住所へ郵送されます。
なお、社会保険料の納付の猶予等の許可を受けていて、猶予期間の証明の交付(納入確認書の発行)が必要な場合や、お急ぎの場合は、管轄の年金事務所で相談されるようお勧めします。
申請書の様式と交付される書類は、次の①から③の場合で、それぞれ異なります。
①社会保険適用事業所の場合
●申請書
【特定技能・適用事業所用】社会保険料納付記録交付申請書
●交付書類
社会保険料納入状況照会回答票
※健康保険・厚生年金保険料の領収証書の写し(過去2年間分すべて)を地方出入国在留管理局に提出する場合は、日本年金機構から書類を取り寄せる必要はありません。
②社会保険適用事業所以外の事業所の場合
●申請書
【特定技能・適用外事業所用】年金加入記録・国民年金保険料納付記録交付申請書
●交付書類
「被保険者記録回答票」及び「国民年金保険料納付記録」
※国民年金保険料領収証書の写し(過去2年間分すべて)を地方出入国在留管理局に提出する場合は、日本年金機構から書類を取り寄せる必要はありません。
③外国人本人の納付証明等の申請
外国人本人が国民年金に加入している場合には、被保険者記録を取り寄せます。なお、申請を代理人等に委任する場合、代理人等の本人確認などの添付書類や、交付書類の送付先を確認する書類などが必要となります。詳細は、日本年金機構のホームページや年金事務所に確認してください。
●申請書
【特定技能・本人用】年金加入記録・国民年金保険料納付記録交付申請書
●交付書類
「被保険者記録回答票」及び「国民年金保険料納付記録」
※国民年金保険料の領収証書の写し(過去2年間分すべて)を地方出入国在留管理局に提出する場合は、日本年金機構から書類を取り寄せる必要はありません。
<参考> 在留資格「特定技能」について
特定技能には、14分野の特定技能1号と2分野の特定技能2号があり、「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について」及び「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について」(2018年12月25日閣議決定、2022年4月26日一部変更)で定められています。
【特定技能1号の14分野】
介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
【特定技能2号の2分野】
建設、造船・舶用工業
#8 短時間労働者に対する厚生年金保険・健康保険の適用拡大~令和4年10月改正
令和4年10月1日から、従業員数101人以上500人以下の会社に対し、「短時間労働者への厚生年金保険・健康保険の適用拡大」が実施されています。この“適用拡大”は平成28年10月に始まり、段階的に対象となる適用事業所を拡大しています。今回は、この“適用拡大”ついて整理します。
1 特定適用事業所
「短時間労働者への厚生年金保険・健康保険の適用拡大」の対象となる適用事業所を、「特定」適用事業所といいます。特定適用事業所に該当するかどうかは、従業員数(=厚生年金保険・健康保険の被保険者の総数*)により決まります。平成28年10月1日の適用拡大では、事業主が同一で従業員数が常時**501人以上の適用事業所が特定適用事業所とされました。
*「短時間労働者を含まない」という表現を見かけますが、「4分の3基準」※を満たして被保険者となっている短時間労働者は、被保険者の総数に含みます。被保険者の総数に含まないのは、適用拡大の対象となりこれから被保険者となる短時間労働者のみです。
※4分の3基準:週労働時間および月労働日数がフルタイムの4分の3以上
**「常時」とは、直近12ヵ月年のうち6ヵ月以上
令和4年10月1日からは、従業員数101人以上500人以下の適用事業所も特定適用事業所となりました。また、令和6年10月1日からは、従業員数51人以上100人以下の適用事業所も特定適用事業所となる予定です。
従業員数が101人以上になった場合は、速やかに年金事務所(及び健康保険組合)へ「特定事業所 該当/非該当届」を提出します。届け出ないまま従業員数が常時(直近12ヵ月のうち6ヵ月以上)101人以上になると、日本年金機構において適用を行います。
●健康保険・厚生年金保険・特定適用事業所 該当/負該当届(日本年金機構ホームページより)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/jigyosho/20200912.files/1-4.pdf
なお、従業員数が100人以下の場合でも、労使合意により事業主が適用拡大を行う旨の申出を行った適用事業所は特定適用事業所となります。また、国や地方公共団体においては、職員数に関わらず、すべての事業所が適用拡大の対象となりました。
2 短時間労働者とは
上記の特定適用事業所に使用され、次の4つの要件をすべて満たす短時間労働者には、新たに厚生年金保険・健康保険(以下、「社会保険」)が適用され、被保険者となります。
①週の所定労働時間が20時間以上であること
②賃金の月額が8.8万円以上であること
③学生でないこと
④2ヵ月を超えて*使用される見込みであること
*平成28年10月には「1年以上」でしたが、令和4年10月に「2ヵ月を超えて」に見直されました。
なお、令和4年10月1日以降、従業員数100人以下(令和6年10月1日以降は従業員数50人以下)の適用事業所であっても、短時間労働者が次の①②の両方(4分の3基準)に該当すると、社会保険が適用されます。
①1週の所定労働時間が同一の事業所に使用される通常の労働者の所定労働時間の4分の3以上
②1月の所定労働日数が所定労働日数の4分の3以上
3 「二以上事業所勤務者」が行う届出
特定適用事業所の範囲が拡大されたことにより、多くの短時間労働者が新たに適用拡大の対象となりました。これにより、たとえば副業先が特定適用事業所になり、「二以上勤務被保険者」に該当するケースが出てきました。また、これまでは社会保険が適用されなかった人が、複数の勤務先で社会保険加入の適用基準を満たすようになってきました。
以下、こうした場合の社会保険の手続について見ていきます。
短時間労働者が適用拡大の対象となり、新たに社会保険が適用される場合、事業主は「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」を管轄の年金事務所や健康保険組合に提出します。この際、備考欄に「二以上」と記載します。
●健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届(日本年金機構ホームページより)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20140718.files/0000002415.pdf
その短時間労働者が複数の事業所において適用基準を満たす場合、本人が「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」により「主たる事業所」を選択します。
●健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届(日本年金機構ホームページより)https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20140820-03.files/0000002458r.pdf
本人が事業所を選択するにあたり、年金額はどの事業所を選択しても変わることはありません。それぞれの事業所での報酬月額を合算して標準報酬月額が計算され、年金額に反映されます。
一方、健康保険については、選択した事業所の加入する健康保険に加入します。ただし、協会けんぽと健康保険組合とでは、健康保険料率や給付が異なります。また、健康保険組合によっては給付内容が異なる場合もあります。健康保険料や給付を比較したうえで、事業所を選ぶとよいでしょう。
なお、健康保険料については、それぞれの事業所における標準報酬月額等に基づいて按分され、それぞれの事業所の賃金から天引きされます。また、これまでと異なる健康保険に加入し、健康保険証が変わる場合は、不要となった保険証を前述の届書に添付します。
実務上の手続としては、選択事業所が「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」と、本人から提出された「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を一緒に、事実の発生から10日以内に下表の提出先に提出します。提出先から、按分された保険料等が各事業所に通知されます。
なお、選択されなかった事業所も、本人の「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」は提出する必要がありますので、ご注意ください。
ところで、複数の事業所に勤務する場合の雇用保険については、「主たる賃金を受ける事業所のみ」に加入します。複数の事業所で加入することは制度的にあり得ませんから、雇用保険料は主たる事業所から支払われる賃金からのみ天引きされます。
4 相談事例
最後に、相談事例をご紹介します。
Aさん(62歳・女性)は、これまでは週20時間で勤務し、年収を180万円以内に抑えて夫の健康保険の扶養家族となっていました。しかし、今回の改正で、事業所から社会保険に加入するよう説明を受けました。当然、これまでの働き方では、本人の意思に関係なく社会保険への加入が義務となります。
Aさんは、社会保険加入により手厚い給付が受けられるメリットは理解できる一方、年齢を考えると、社会保険料や税金の負担増による手取りの減少はデメリットと捉えていました。
今後は特別支給の老齢厚生年金が支給され、これまでどおりに働き続ければ、夫の健康保険の扶養家族からはずれることになります。働き続けるのであれば、自分で国民健康保険に加入するよりも社会保険に加入したほうが有利です。いろいろな選択肢があり、その場で結論を出せませんでした。
年金相談の際には、「壁」と言われる次の基準内に年収を抑えるために、働き方の相談が増えてくると思われます。
①所得税のかからない103万円以内
②短時間労働者として社会保険が適用される106万円(88,000円×12月)以内
③健康保険の被扶養者の130万円以内(60歳未満)または180万円以内(60歳以上)
こうした相談は社会保険だけでなく、税金(所得税と住民税)や国民健康保険にも関わってきます。管轄行政機関も税務署、年金事務所、市役所、健康保険組合や協会けんぽと多岐にわたります。
何より個々の状況が異なるので、最後は、本人に判断していただくしかない非常に難しい相談となります。本人が自分で判断をするための材料として、具体的に納付する税金額や保険料額、年金額(見込み額)については、ぜひ、管轄の行政機関から収集して提供してください。
#9 デジタル庁が進める「公金受取口座」で年金を受け取る場合の手続と注意点
現在、デジタル庁ではマイナンバーカードの取得と同時に、「公的受取口座」の登録を促進しています。個人がマイナポータルから公的受取口座を登録するとマイナポイントが付与されるキャンペーンが実施され、普及が進んでいます。
そこで今回は、年金を「公的受取口座」で受け取るときの手続や注意点などについて見ていきます。
公金受取口座登録制度とは
公金受取口座登録制度は、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施を図ることを目的に、一人一口座(金融機関等の預貯金口座)を給付金等の受取専用の口座として、国(デジタル庁)に登録する制度です。
年金給付のほか、年金生活者支援給付金や所得税の還付金等の振込先として利用することができます。
公金受取口座を事前に登録することで、給付金等を申請する際に申請書への口座情報の記載や、通帳の写し等の添付書類を省略することができます(令和4年12月末までは試行期間のため、口座情報の記載を求められる場合があります)。
なお、公金受取口座の情報は、デジタル庁の「公的給付支給等口座登録簿」に記録されます。記録される登録情報は、公金受取口座登録法第3条第3項及び同法施行規則第5条に次のように規定されています。
【給付を行う行政機関へ提供される情報】
① 金融機関の名称
② 店舗の名称(本店・支店・出張所等の名称)
③ 預貯金の種別(普通・当座)
④ 口座番号(ゆうちょ銀行の場合は記号番号)
⑤ カナ氏名
【口座情報とともに記録される情報】
① 氏名(及びカナ氏名)
② 住所
③ 生年月日
④ 個人番号
⑤ 連絡先の情報(電話番号、電子メールアドレス等)
⑥ 登録の申請等を受け付けた機関の名称(口座の変更の登録、登録情報の修正・訂正、抹消、行政機関でのデジタル庁への口座情報の提供の同意を含む)
⑦ 登録の申請等を行った年月日
⑧ 処理年月日(公的給付支給等口座登録簿に記録した年月日)
また、公金受取口座の預金残高や引き落とし等の個人情報がデジタル庁に記録されることはなく、税金や社会保険料が公金受取口座から引き落とされることもありません。
なお、登録した公金受取口座の情報は、マイナポータルからいつでも確認、変更、削除を行うことができます。
*令和4年1月以降のマイナンバーカード方式による所得税の確定申告(電子申告)の手続きでも、還付金等の受取のための口座を公金受取口座として登録申請することができます。
年金関係給付金等の取り扱い
年金の振込先として公金受取口座を使えるよう、令和4年9月8日に厚生年金保険法施行規則や国民年金法施行規則の一部が改正されました。
年金の受取口座に「公金受取口座」を指定すると、年金を支給する行政機関等にデジタル庁からその口座情報が提供されます。これにより、金融機関の証明や口座番号の確認のための通帳の写し等の添付等が原則、不要になります。令和 4 年 11 月以降、次の行政機関の年金給付等については、「受取口座を公金受取口座で」と申し出ることで、通帳の写し等の添付を省略できるようになりました。
〇日本年金機構
厚生年金(厚生年金保険法による年金である保険給付または一時金)
国民年金(国民年金法による年金である給付若しくは一時金)
旧船員保険法による年金たる保険給付
旧適用法人共済組合員期間を有する者に係る年金たる給付
移行農林共済年金及び移行農林年金
特別障害給付金
時効特例給付
保険給付遅延特別加算金及び給付遅延特別加算金
年金生活者支援給付金
〇日本私立学校振興・共済事業団
共済年金等/厚生年金等
〇国家公務員共済組合連合会
共済年金等/厚生年金
〇日本鉄道共済組合
共済年金・未支給年金
なお、国家公務員共済では、令和 4 年 10 月に年金の振込先として、公金受取口座を指定できるようになりました。また、年金の受取口座などに変更があったときには、年金の振込先として公金受取口座を希望する場合に限り、通帳のコピー等の添付書類が不要となっています(令和 4 年 10 月以降)。
また、公立学校共済では、長期給付における公金受取口座の運用は、令和5年3月下旬から開始となる予定です。令和4年10月から運用開始までの期間は、共済組合を含む地方公務員共済組合に年金請求書等を提出する際、公金受取口座を年金の受取口座に指定したとしても、添付書類の省略等はできません。共済組合の公金受取口座の運用については、該当の共済組合に確認することをお勧めします。
年金請求書・届書の変更について
日本年金機構の年金請求書や各種届書については、年金の振込先を記載する際に「公金受取口座の利用を希望する意思表示欄」にチェックをして意思を表示することになります。
なお、振込先に公金受取口座を指定する場合であっても、金融機関名や支店名、口座番号等については引き続き、年金請求書や届書への記入が求められます。また、振込先に公金受取口座を指定した人が、マイナポータルなどから公金受取口座の登録口座を変更しても、年金の受取口座は連動して変更されません。別途、「年金受給権者受取機関変更届」の提出が必要なので、ご注意ください。
●年金受給権者受取機関変更届(日本年金機構ホームページより)