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4月診療分の入院外総点数は病院▲5%、診療所▲17%(6月10日)

日本医師会は6月10日の会見で、4月診療分の「新型コロナウイルス対応下での医業経営状況等アンケート調査」の結果を発表した。5月20日の会見では3月診療分の結果を発表したが、4月診療分を追加。病院、診療所ともに経営は悪化している。

4月診療分のレセプトが対象で、回答は病院120施設、診療所523施設。

入院外の総件数、総日数、総点数について前年同月分と比較したところ、◇総件数は病院▲13.6%、診療所▲16.9%◇総日数は病院▲15.6%、診療所▲20.6%◇総点数は病院▲5.0%、診療所▲17.0%―といずれもマイナスとなった。

診療所の診療科別でみると、入院外の総点数は小児科▲39.2%、耳鼻咽喉科▲36.6%と3割以上減少している。

両診療科の減少幅が大きい要因について松本吉郎常任理事は、「小児科では新型コロナウイルスを恐れて受診が手控えられている。耳鼻咽喉科では患者に接近した処置が多く、ネブライザーはエアゾールが伴うために受診控えが生じ、処置ができないことから単価が下がっていることが考えられる」と述べた。

初診料の算定回数は、病院▲38.3%、診療所▲39.3%と4割弱の減少となった。電話等による初診は、算定回数としては病院0.02%、診療所0.20%とわずかだったが、病院の4.2%、診療所の5.6%で実施されていた。

再診料または外来診療料の算定回数は、病院▲11.8%、診療所▲14.0となった。電話等再診は、これまで特に病院ではほとんど実施されていなかったが、4月に入って大幅に増加した。再診料または外来診療料に占める電話等再診の算定回数の割合は病院で2.12%、診療所で1.69%となった。

一方、新型コロナウイルス感染症の経営への影響として、無床診療所では4月単月で▲100万円の赤字になるとの試算を提示。「院長給与を含む固定費削減などの対応は待ったなしの状況で、現実に大幅な経費削減が断行されているものと推察される」と分析した。

今回の調査結果について松本常任理事は「大変厳しい結果が示された」と述べ、5月診療分についても調査する考えを示した。

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