後期高齢者医療広域連合協議会、窓口負担見直しで丁寧な説明を要望(6月1日)
全国後期高齢者医療広域連合協議会は6月1日、都内で令和4年度広域連合長会議(総会)を開き、後期高齢者の窓口負担の見直しについて丁寧な説明を求めることなどを盛り込んだ要望書をまとめた。要望書は、同日の会議で横尾俊彦会長(佐賀県広域連合長・多久市長)から佐藤英道厚生労働副大臣に手渡された。
会議の冒頭挨拶で横尾会長は、一定の所得以上の後期高齢者の窓口負担2割への引上げについて「10月の施行に向けて、被保険者をはじめ医療機関に対しても丁寧な周知・広報が必要になるため、本協議会では早い段階から国に要望を行い、対策を講じるように求めている」と述べた。
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施については「同事業は令和2年度からスタートし、国は令和6年度までに全市区町村での開始を目指している。この取り組みを後押しするための課題となっているは、医療専門職の人手不足に対応する要件緩和であり、本協議会としては引き続き要望していきたい」と述べた。
「後期高齢者医療制度に関する要望書」は、①窓口負担のあり方②標準システム関連③新型コロナウイルス対策関連④財政関係⑤制度運営体制⑥マイナンバー制度関連⑦大規模災害など⑧保健事業⑨第三者行為関連事務の取組強化⑩保険料の軽減措置―について国に対して積極的な対応や実現に向けた取組みを求めている。
佐藤副大臣「円滑な施行に向けて取組みを進める」
要望書のうち「窓口負担のあり方」では、窓口負担割合の見直しについて国による丁寧な説明・周知・広報を行うとともに、必要な経費の財政支援を確実に実施することを求めた。コールセンターの長期間の設置、三師会や医療機関への速やかな情報提供と丁寧かつ十分な説明も要望。
「標準システム関連」では、改修経費は国庫による十分な財政支援を要請。令和5年度予定の機器更改はクラウド化が検討されていることから、広域連合の意見を踏まえて必要な機能の開発を進めることを求めた。
「制度運営体制」では、骨太方針2021で中長期的な課題として検討を深めることとされている後期高齢者医療制度の運営体制について、進捗状況と今後の見通しの情報提供を求めた。生活保護受給者の国保と後期高齢者医療制度への加入については、慎重な議論が必要であり、現行の医療扶助の維持を求めた。広域連合へ職員を派遣する市区町村に対して、地方財政措置の充実を図り、職員定数上の緩和措置を設けるなど派遣しやすい環境の整備も要請している。
横尾会長から要望書を受け取った佐藤副大臣は、「窓口負担の見直しについては10月1日の施行に万全を尽くすべく、広域連合と連携しつつ円滑な施行に向けて取組みを進める。標準システムの機器更改については適宜適切に情報提供を行うとともに、広域連合の意見をうかがいながら必要な機能の開発を進める」と述べた。