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正常分娩費用の保険適用を検討する方針――政府がこども・子育て政策の試案を発表(2023年3月31日)

政府は3月31日、こども・子育て政策の試案を発表した。試案は今後3年間で「こども・子育て支援加速化プラン」に取り組む方針を示している。医療関係では、正常分娩の出産費用の保険適用を検討するとともに、こども医療費助成について国民健康保険の減額調整措置を廃止することが盛り込まれた。

昨年の出生数は80万人を割り込み、少子化は政府の予測より8年早く進んでいる。危機感を強める政府は、今年1月から「こども政策の強化に関する関係府省会議」を開催し、子育て当事者の意見も聞きながら議論した。これらを踏まえ、こども・子育て政策の試案を示した。

具体的には、児童手当について、所得制限を撤廃し、支給期間を高校卒業まで延長する方針を示した。多子世帯の経済的負担感が強いことを踏まえ、手当額も見直す。

出産費用については、今年4月からの出産育児一時金の50万円への引上げと低所得の妊婦に対する初回の産科受診料の費用助成を着実に実施する。令和6年度から出産費用の見える化を実施するため、具体化を進める。これらの効果を検証し、「出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の在り方について検討を行う」とした。

地方自治体のこどもの医療費への助成に関しては、国保の減額調整措置を廃止する方針を示した。

抗菌薬の適正な使用など、こどもにとってより良い医療のあり方について、今後、国と地方の協議の場などで検討し、必要な措置を講じるとした。

妊娠期から出産・子育てまで、切れ目のない支援を拡充する方針。国立成育医療研究センターに女性の健康に関するナショナルセンター機能を持たせ、女性の健康や疾患に特化した研究を進める。

教育費の負担軽減のため、授業料後払い制度を導入する。大学院修士課程段階の学生を対象とし、さらなる支援拡充のあり方を検討する。

子育て世帯への住宅支援も強化する方針。子育て環境の優れた地域に立つ公的賃貸住宅に子育て世帯が優先的に入居できるようにする。
共働きをしながら夫婦で共に子育てする「共働き・共育て」を定着させるため、男性育休の取得を促進する。「産後パパ育休」を取得した場合の給付金の給付率を67%から8割程度まで引き上げる。

骨太に向け予算倍増の大枠示す

4月1日に発足したこども家庭庁は同日、試案に関する小倉將信こども政策担当大臣のメッセージ動画を公開した。

小倉大臣は、「結婚やこどもを生み育てることに対する多様な価値観・考え方を尊重したうえで、若い世代が希望通り結婚し、希望する誰もが子どもをもち、ストレスを感じることなく子育てできるようにすることが、少子化対策が目指すべき基本的方向である。同時に、少子化・人口減少のトレンドを反転させることは我が国の経済社会全体にも寄与する。未来への投資としてこども子育て政策を強化するとともに、社会全体でこども・子育てを支えていくという意識を醸成していく必要がある」と訴えた。

こども家庭庁創設に当たってメッセージを述べる小倉將信こども政策担当大臣

小倉大臣は試案について、「必要な政策内容を整理するという観点からまとめた。今後、岸田総理の下でさらに議論を深め、6月の骨太方針に向けて、将来的なこども予算倍増に向けた大枠を提示する」と述べた。

地方3団体が試案を評価

全国知事会と全国市長会、全国町村会の3団体は3月31日、連名で試案への見解を公表。地方側が提言してきた児童手当の拡充やこどもの医療費助成に係る国保の減額調整措置の廃止が盛り込まれたことを評価した。

その上で、全国一律のこども医療費助成制度の創設と不妊治療の保険適用範囲の拡大について検討を行うことを要望した。

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