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遺族年金のしくみと手続~詳細版|#11離婚後内縁関係にあった夫の死亡で遺族厚生年金は請求できるのか?

石渡 登志喜(いしわた・としき)/社会保険労務士・年金アドバイザー

内縁の妻が遺族年金を請求するケースはさまざまです。今回は、亡夫と14年前に離婚し、その後、亡夫とは別居しているけれども、内縁の妻であったと本人が主張しているケースです。

 
【事例概要】
死亡者:Aさん(昭和25年7月12日生まれ:71歳/老齢厚生年金受給者)
・昭和55年6月30日にX子さんと婚姻
・平成20年3月中旬頃にX子さんと別居後、同年4月10日に離婚
・同年7月25日にB子さんと婚姻
・平成23年10月3日にB子さん死亡
・令和4年2月5日に死亡 
請求者:X子さん(昭和28年8月15日生まれ:68歳)
・昭和55年6月30日にAさんと婚姻
・平成20年3月中旬頃にAさんと別居後、同年4月10日に離婚
・令和4年3月10日に来所

収入要件を満たす「内縁の妻」の遺族年金請求について

夫のAさんが死亡したので遺族厚生年金の請求をしたいと、X子さんが3月10日に来所されました。X子さんは内縁の妻ということですが、Aさんの死亡時点では別居していました。

そこで最初に、死亡したAさんの年金加入歴等を基礎年金番号で調べると、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が25年以上あり、老齢厚生年金の受給権者でした。Aさんは遺族年金支給のための死亡者の要件を満たしており、「適格死亡者」であることがわかりました。

次に、X子さんが、Aさん死亡時においてAさんとの生計維持関係が認められるか否かを確認します。事実上婚姻関係と同様の事情にある「内縁の妻」も、遺族厚生年金の受給権者となる死亡した者の「配偶者」に含まれます。
また、適格死亡者との生計維持関係が認められるには、年額850万円以上の収入または年額655万5000円以上の所得(以下、「基準額」)を将来にわたって有すると認められる者以外の者であることが必要です。

※厚年法第3条第2項、第58条第1項第4号及び第59条、厚生年金保険法施行令第3条の10並びに「生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて」(平成23年3月23日年発0323第1号厚生労働省年金局長通知(以下「23年通知」)

X子さんは、Aさん死亡の当時、前述の2つに該当しているように見え、遺族厚生年金が支給される要件は満たしているように思われました。

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