介護サービスの運営基準改正案を介護給付費分科会が了承(12月9日)
社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は9日、介護サービスの「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(厚労省令)」の改正案を概ね了承した。認知症グループホームで一定の要件を満たす場合、3ユニットでの夜勤配置を2人でも可能とすることや、新設の個室ユニット型施設では定員15人までも可能とすることを盛り込んだ。
改正基準を踏まえて自治体で条例を制定する必要があり、分科会は審議報告に先行して取りまとめた。改正案へのパブリックコメントを経て、改正基準は1月中にも公布される方向だ。施行は令和3年度から。
2日の議論で強い異論が示された①認知症グループホームの夜勤職員体制の見直しと②個室ユニット型施設の定員の緩和ついて厚労省は、意見を踏まえてあらためて提案した。
まず安全性の観点などから反対が出た①グループホームの夜勤体制の見直しでは、1ユニットごとに1人の夜勤配置の原則は維持した上で、利用者の安全確保等を要件に3ユニットでは「例外的に夜勤2人以上の配置に緩和できる」こととした。
要件としては、各ユニットが同一階に隣接しており、職員が円滑に利用者の状況把握を行い、速やかな対応が可能な構造で、安全対策(マニュアルの策定や訓練の実施)を図っていることとした。
3ユニットで夜勤職員を2人とする場合の報酬は別途設定する。
また施行後の状況を把握・検証し令和6年度報酬改定において介護給付費分科会で必要な対応を検討してくこととした。
次に、職員の負担増やケアの質の低下などの懸念が示された②個室ユニット型施設の定員の緩和について、1ユニットの入居定員は「原則としておおむね10人以下とし、15人を超えないものとする」ことを提案した。
さらに省令の附則で、10人を超えるユニットを整備する場合に、夜間及び深夜を含めた介護職員及び看護職員の配置の実態を勘案して職員を配置するなどとする努力義務を規定することも示した。15人ユニットの場合、原則として夜勤は2ユニットごとに1.5人以上の職員を配置することなどを想定している。
こうした新たな定員に関する規定は、新設される施設に適用される予定だ。
また厚労省は施行に当たり、少なくとも次の取組を行う考えを示した。
▽今後、現行の入居定員の基準を超える新たなユニットを整備する施設は、当該ユニットの入居定員に加え、当該ユニットに勤務する介護職員及び看護職員の総数並びに夜間及び深夜の勤務に従事する介護職員及び看護職員の数等を都道府県に届け出るものとする。
▽国は、当該ユニットの職員の配置が、他のユニット型施設の夜間及び深夜を含めた職員配置の実態に照らして遜色のないもとなるよう十分な努力を行ったと認められない場合には適切に指導することについて、都道府県に通知を発出する。また国は確認・聴取すべき内容等をマニュアルとして都道府県に示す。
▽国は、新たに整備された、現行の入居定員の基準を超えるユニットの整備・運営状況について、都道府県を通じて定期的に把握しつつ、適切な運営や指導が行われているかを検証し、必要に応じて制度を見直す。
なお、賛否両論があった訪問看護ステーションの看護職員を6割以上とする人員配置基準を設定することは、今般の基準改正案には盛り込まれなかった。