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通所系・短期入所系サービスなどを議論(7月20日)part1

社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋分科会長)は7月20日、令和3年度介護報酬改定に向けて通所系サービスや短期入所系サービスを中心に検討を進めた。

通所介護をはじめ複数のサービスで導入されているが算定が低調な「生活機能向上連携加算」の見直しや、通所リハにおけるアウトカム評価の促進など、自立支援・重度化防止に向けた取り組みについて、多くの意見が出された。

今回は、①通所介護②地域密着型通所介護③認知症対応型通所介護④療養通所介護⑤通所リハビリテーション⑥短期入所生活介護⑦短期入所療養介護⑧福祉用具貸与・販売⑨住宅改修─について議論した。

3回に分けて、主な論点や意見について紹介する。part1では、通所介護と地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護について取り上げる。

外部のリハ事業所等との連携が困難

通所介護について、制度改正により28年4月から、利用定員18名以下の小規模な事業所は「地域密着型通所介護」という位置づけになっている。また通所介護(及び通所リハ)は原則、前年度の月当たりの平均延べ利用人数により、通常規模型と大規模型(Ⅰ)・(Ⅱ)が設定されている。

平成31年4月審査分の報酬請求事業所数は4万3333事業所。平成28年の4万3440事業所が最多であり、その後全体としては横ばいの状況だ。内訳をみると、地域密着型通所介護事業所は28年4月の2万3763事業所が最多で、その後減少し、31年4月で1万9452事業所になっている。一方、通常規模型・大型の通所介護は増加を続けており、28年4月の1万9677事業所から31年4月には2万3881事業所になっている。

認知症対応型通所介護については、平成27年4月の3787事業所が最多であり、その後減少しており、31年4月には3439事業所。

認知症対応型通所介護は利用者も減少傾向であり、その理由として厚労省は、地域住民などに役割がきちんと伝わっていないことや、通所介護などほかのサービスでの受け入れが進んでいること、通所介護よりも報酬単価が高く、ほかのサービスとの併用が難しいことなどを挙げた。

地域密着型通所介護と通所介護の30年度の費用額の合計は1兆6457億円と、費用額合計(9兆9107億円)の16.6%を占める。認知症型通所介護の費用額は852億円と、0.9%程度だ。

通所介護等では30年度改定で、自立支援・重度化防止の観点から生活機能向上連携加算が導入された。

生活機能向上連携加算は、通所介護等の職員が外部のリハ専門職と連携して自立支援の観点から機能訓練などのマネジメントを行った場合に算定できるもの。元々、24年度改定で訪問介護に導入されていたが、30年度改定に通所介護や特養、短期入所生活介護、定期巡回・随時対応サービスなど11サービスに拡大された。

全般的に算定率は低調だ。たとえば31年3月サービス提供分での算定率(回数・日数ベース)をみると、通所介護で0.4%、地域密着型通所介護で0.2%、認知症対応型通所介護で0.4%にとどまる。  

令和元年度の調査研究によると、通所介護で、生活機能向上連携加算を算定していない理由としては、「外部のリハ事業所等との連携が難しいため」36.7%、「かかるコスト・手間に比べて単位数が割に合わないため」35.9%など。

一方、メリットとしては、「機能訓練指導員のケアの質が向上した」58.8%、「利用者の状態や希望に応じたケアの機会が増えた」53.9%などとなっている。

また30年度改定では、通所介護・地域密着型通所介護におけるアウトカム評価として、ADL維持等加算が導入された。同加算は、一定期間内に当該事業所を利用した者のうち、ADL(日常生活動作)の維持又は改善の度合いが 一定の水準を超えた場合を評価するもの。ADLを測定するうえで、Barthel Index(バーセル・インデックス)を活用する。前出のようにADL維持等加算も算定率が低調だ。

通所介護と通所リハの連携も課題だ。

通所リハとの併用者を受け入れたことがある事業所は49.3%、通所リハの利用を終えた者を受け入れたことがある事業所は26.8%になっていた。

リハが必要な通所介護の利用者について「送り出したことがない」が48.5%で最も多く、「送り出したことがある」は27.5%だった。

生活機能向上連携加算の要件・報酬単位の見直しに意見相次ぐ

意見交換で全国老人福祉施設協議会の小泉立志委員は、生活機能向上連携加算について、効果に期待を寄せる一方、外部のリハ事業所等と連携する必要があることから、「現実的にはハードルが非常に高い」と指摘。具体的に困難な理由について分析を深めるよう要請した。さらに各事業所の取り組みを進めるうえで、「要件の緩和と加算単価の更なる充実が必要」と指摘した。

ADL維持等加算について、「利用者の社会性・ADLの向上に大きく貢献している」と評価。ただし「バーセルインデックスの実施における算定要件の簡略化や単位数は見直しが必要」と求めた。

今年度からデータ収集が進んでいる介護のデータベース「CHASE」の項目に、バーセルインデックスが含まれることや、データの収集そのものに一定の業務負担がかかることを挙げ、「データ提出に対する評価と実施した結果に対する評価の2局面から評価を行ってはどうか」と提案した。

全国老人保健施設協会の東憲太郎委員は、生活機能向上連携加算やADL維持等加算の算定率が低調であることを問題視。「算定の仕組みを根本から考える必要がある」と主張した。特にADL維持等加算については、「認知症の視点が欠けている。認知症を含めた『生活機能維持加算』という形で中身を含めて改変すべき」と訴えた。

日本医師会の江澤和彦委員は、生活機能向上連携加算について、「リハ専門職を派遣できるのは、一定程度専門職を抱えた病院くらい。老健やデイケア等からの派遣は人員配置の現状や業務を考えると厳しいと思う。派遣する側としても費用対効果を考えるとインセンティブが働かないと思う」と提起した。

ADL維持等加算を促進すべきと主張するとともに、「現場の労力に対して報酬が低い」と指摘し、引き上げの検討を要請した。

民間介護事業推進委員会の今井準幸委員は、生活機能向上連携加算の算定で外部のリハ事業所等との連携の難しさが指摘されている点について、「広く地域のリハ職の配置が進んでいる中で、こういうリハ職を活用する誘導策を検討してはどうか」と提案した。ADL維持等加算については要件の緩和を求めた。

健康保険組合連合会の河本滋史委員は、通所介護等の生活機能向上連携加算の算定率が低いことに触れ、外部のリハビリテーション事業所等との連携しやすい仕組みの整備やガイドラインの作成など、国の取り組みを要請した。

日本介護支援専門員協会の濵田和則委員は、生活機能向上連携加算についてサービス類型により要件が異なることに触れ、「同じ目的の加算であるので、可能な限り同じパターンで算定できるように要件をそろえるべき」と指摘した。

高齢社会をよくする女性の会の石田路子委員は、通所介護と通所リハの連携に言及。「通所リハと通所介護のつながりがスムーズでなければ、通所リハを利用している人は延々と通所リハを続ける」と指摘。通所リハにおける取り組みの効果を通所介護の機能訓練で引き継いでいけるようにして、ADL等の改善を評価できる仕組みの検討を提案した。

連合の伊藤彰久委員も「一定期間リハに取り組み、通所介護に引き継いでいければ理想。役割分担を考えていきたい」と述べた。また伊藤委員は、利用者数が減少している認知症対応型通所介護について、「報酬が高いことで敬遠されることないように目的・役割が利用者にきちんと伝わることが重要」とした。

他方、日本介護福祉士会の藤野裕子委員は、通所介護の取り組みについて「利用者の社会生活の継続や介護家族のレスパイトも適切に評価すべき」と指摘。「介護者の負担軽減や介護離職を防ぐうえで通所介護の果たす役割は大きい」と訴えた。

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