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#8 |不安も今日で解消!投資の基本を押さえて安心スタート

小野田 理恵子(おのだ りえこ)/小野田社労士・FPオフィス代表


とにかく始めよう!

前回の「資産管理の考え方」の図表には、「投資に回すのは、基本的には当面は使う予定のない余裕資金」と書きました。確かに正論としてはそれが妥当なのですが、そうすると「私は毎月のやり繰りがギリギリで、余裕資金なんてないわ」とか「投資はお金が貯まってから考えよう」という声が聞こえてきます。でもそれではいつまでたっても投資を始めることはできないので、何らかの工夫をして投資に回すお金を作り出すことを考えたいものです。

投資と聞くとまとまったお金がないとやれないものだと思っている人も多いようですが、決してそうではありません。毎月一定額ずつを運用に回す積み立て投資なら初心者でも始めやすいです。もちろん「短期間に大儲けを狙う」投資スタイルもありますが、このコラムでは「長期間にわたりコツコツ積み立ててお金を増やす」投資を念頭に置きたいと思います。

たとえばiDeCoなら月に5,000円から、NISAは金融機関によって異なりますが月額100円や1,000円からでも始めることが可能です。

iDeCoについての解説が含まれるセミナーで、「飲み会への参加を月に1回減らして、その分を60歳以降の自分に仕送りしませんか」と話すと、「なるほど!」と頷いてくださる方もいます。また月に数千円なら、固定費に目を向けてスマホ・各種サブスクリプション・生命保険などの契約内容を見直したり、ちょっとした節約を心掛けることで、NISAに回すお金を捻出できるのではないでしょうか。

また、「投資なんて、しっかり勉強してからでないと怖くてできない」という人もいます。でも車の運転を例として考えると、いくら机上で運転方法や危険性について深く学んだところで、実際に運転してみないことにはスピード感や気を付けるポイントは体得できません。それと同じで、実際に投資をやってみて初めて、「本で読んだ注意点はそういうことだったのか!」と合点がいくことが多いというのが私の実感です。

とにかく投資をやってみるつもりがあるのなら、少しでも早くスタートするに限ります。ときどき「今は株が高いから、始めるタイミングではないのでは?」と聞かれることがあります。確かにまとまったお金で一度に値動きのある商品を買うのならその心配もわかります。でも毎月一定額ずつ同じ商品を買っていく積み立て投資なら、商品の価額が高いときには買える数量は少なく、安いときには多く買えるため、基本的には平均購入単価を抑えられる(専門用語ではドルコスト平均法という)ので、将来の不確実な時期を待つよりも少しでも早く始める行動が大事だと思います。最初は少ない金額で様子見をして、慣れてきたら、あるいは余裕が出てきたら徐々に増やしていけるとよいのではないでしょうか。

リスクとリターンは比例!

一般的にはリスクとは「危険なこと」を意味しますが、投資の世界では値動きの振れ幅を指し、振れ幅が大きいことをハイリスク、振れ幅が小さいことをローリスクといいます。一方リターンとは、資産運用の結果として得られる収益のことです。

ここで、多くの金融商品の中から初心者が比較的利用しやすい商品について、リスクとリターンの関係を表した<図表1>をご覧ください。

図表のとおり、リスクの低い商品はリターンも低く、リターンの高い商品はリスクも高くなります。まともな金融商品はこの斜めのライン上のどこかに位置し、一見魅力的に思える「ローリスク・ハイリターン」の金融商品は存在しないので、もしそういう商品の売り込みを受けたら、何らかのウラがある眉唾ものだと疑ってかかるべきです。

図表を見ると、ひと口に金融商品と言っても、安全性がかなり高く預貯金に近いようなものからハイリスク・ハイリターンのものまで、とても幅が広いことがおわかりいただけます。ですから「投資はギャンブルのようなもの」と決めつけるのはちょっと違うと思います。

特に投資信託に関しては、あまり良いイメージを持っていない人も多いようですが、実際には図表のとおり商品のタイプは幅広く、また数多く存在し、商品ごとにリスク・リターンが大きく違います。投資信託の失敗例には、「かなり高い手数料がずっとかかり続ける商品を買ったことに、後で気付いた」とか「一時的な値下がりに気が動転して、慌てて全部売却してしまった」など、それなりの理由があることが多いです。実は前者は、私が初めて投資信託を買ったときの経験です。

すでに投資を行っている方は、保有している商品がこのライン上のどこに位置しているのか、また複数お持ちの場合は、どの位置にどのくらいの金額のものを持っているのか分散の具合を確認してみると、リスク・リターンの傾向や偏りの有無などが把握できます。

おもな金融商品の特徴

投資を始めるときには、この幅のある金融商品の中から、自分の状況や考え方に合う商品はどれなのか、どの程度のリスクなら許容できるのかなどを考えて選択する必要があります。

その際に参考になるのが、各商品の安全性・収益性・流動性です。<図表1>でも安全性と収益性の傾向はある程度わかりますが、<図表2>はさらに各商品のしくみ、3つの性質、特徴も含めた比較表になっています。

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