謎の新興国アゼルバイジャンから|#38 私の教養主義復権論(その4)学問は人を自由にする リベラルアーツ
みなさんこんにちは。
今年は第一次大戦終結から100年の節目の年です。
第一次大戦終戦記念日(Armistice Day, Remembrance Day)である11月11日、小雨の降る中、パリで「第一次大戦終結100年式典(WW1 Armistice Centennial)」が開催されました。
式典にはマクロン大統領、トランプ大統領、プーチン大統領、メルケル首相、トルドー首相、グテーレス国連事務総長はじめ70以上の国・国際機関の首脳が参列し、その模様はBBC ,CNN,France24はじめ主要海外メディアが生中継で世界中に放映しました。日本からは麻生副総理が参加されました。
第一次大戦は別名「欧州大戦」あるいは「The Great War」とも呼ばれます(欧州で “the Great War”といえば第二次大戦ではなく第一次大戦の方を指すのが普通です)。
英独仏伊墺日露土(のちに米)など、当時のすべての列強(大国)が参戦し、欧州全土が戦場となったこの戦争は、戦車や航空機(軍用機)、潜水艦、毒ガスなどの新型「大量殺戮」兵器の登場、塹壕戦による戦線の膠着・戦争の長期化によって、戦闘員のみならず一般市民や植民地をも巻き込んだ「総力戦」となり、それ以前の戦争とは比較にならない規模の甚大な人的・物的損害*を出しました。
戦勝国・敗戦国を問わず、参戦した欧州各国(その植民地を含む)の疲弊は大きく、戦争末期にはロシア革命、ドイツ革命など多くの参戦国で革命や大きな政治変革が起きました。この大戦の結果、ドイツ帝国、ロシア帝国、オーストリア=ハンガリー帝国、オスマン帝国などのいくつかの帝国が消滅し、世界初の社会主義国ソヴィエト連邦が生まれ、欧州の疲弊と対照的に「新興国」アメリカが存在感を大きく高めます。
この大戦は欧州の地図を塗り替え、世界の力学を大きく変えたわけです。
この大戦には日本も参戦し、1919年のパリ講和会議を「5大国」(イギリス、フランス、日本、アメリカ、イタリア)の1国として主導し、ヴェルサイユ条約が締結されます。
大戦後には、再びこのような世界規模の大戦を起こさないための国際的平和維持機関として「国際連盟」が創設されます。国際連盟の主導のもと、不戦条約の締結、数次の軍縮会議など平和維持への努力が重ねられましたが、皆さん世界史で学んだ通り、この試みは功を奏せず、20年後、世界は再び大戦の戦禍に見舞われることになります。
そんな歴史に思いを致せば、欧州諸国の人々にとって、第一次大戦の記憶が特別な意味を持っていること、まさに The Great Warであることは理解できます。
BBCでは、11月に入るとアナウンサー、キャスターはじめ出演者は皆ケシの花のピン(Poppy Pin)を胸につけて登場するようになります。毎年恒例の光景です。
イギリスではこの時期、駅前や大型スーパーの前で「Poppy Appeal」という募金活動が行われるそうです。現役および退役軍人の支援金のための寄付をすると、このピン(造花)がもらえる由。ちょうど日本の赤い羽根のような感じですね。
ここバクーでも、11月11日、英国大使館主催のCentennial Remembrance day ceremonyが行われ、その前日には現地進出企業と英国大使館の共催による「Poppy Ball」というチャリテイレセプションが行われました。
さて、長い枕はこれくらいにして。「私の教養主義復権論」の続きに入ります。
今回は「学問は人を自由にするーリベラルアーツ」というお話です。
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