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次期改定に向けDPC制度の議論開始 DPCにふさわしい病院の基準など課題に(2023年4月24日)

中医協の入院・外来医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)は4月24日、令和6年度診療報酬改定に向け、入院医療などに関する本格的な議論を開始した。同日は、今後の検討事項やスケジュールを確認。令和5年度調査項目案を了承したほか、DPC/PDPSに関して、令和2年度特別調査の結果や現況が報告された。

DPC制度の特別調査結果

DPC/PDPSの令和4年度特別調査の結果が報告された。調査では、DPC/PDPSになじまない可能性のある病院を含めたDPC対象病院の実態を把握するため、医療機関が担うべき役割や機能に対するインセンティブを評価している機能評価係数Ⅱに着目とした調査を行った。

機能評価係数Ⅱとは、DPC対象病院の医療提供体制全体の効率改善などの取組みを評価したもので、6つの係数がある(の指数を係数に変換)。

6行2列の表 見出し列は「指数」「評価内容」  保険診療指数: 【適切なDPCデータの作成】 ・「部位不明・詳細不明コード」の使用割合が10%以上の場合、0.05点減算する。 ・DPCデータの様式間の記載矛盾のあるデータの件数が全体の1%以上の場合、0.05点減算する。  様式1の親様式・子様式間(データ属性等(郵便番号、性別、生年月日等)、様式1とEFファイル間(入院日数入院料の算定回数の矛盾)、様式4とEFファイル(医科保険情報と先進医療等情報の矛盾)、DファイルとEFファイル(記入されている入院料等の矛盾) ・未コード化傷病名である傷病名の割合が2%以上の場合、0.05点減算する。(様式1で評価) 【病院情報の公表】 自院のホームページで公表した場合に0.05点加算する。 (【保険診療の質的改善に向けた取組み】:令和6年度からの評価を検討)  地域医療指数: 体制評価指数:5疾病5事業等における急性期入院医療を評価定量評価指数:〔当該医療機関の所属地域における担当患者数〕/〔当該医療機関の所属地域における発生患者数〕  1)小児(15歳未満)と2)それ以外(15歳以上)についてそれぞれ同配分で評価。  DPC標準病院群は2次医療圏、大学病院本院群及びDPC特定病院は3次医療圏のDPC対象病院に入院した患者を対象とする。  効率性指数: 〔全DPC/PDPS対象病院の平均在院日数〕/〔当該医療機関の患者構成が、全DPC/PDPS対象病院と同じと仮定した場合の平均在院日数〕 ※ 当該医療機関において、12症例(1症例/月)以上ある診断群分類のみを計算対象とする。 ※ 包括評価の対象となっている診断群分類のみを計算対象とする。  複雑性指数: 〔当該医療機関の包括範囲出来高点数(一入院当たり)を、診断群分類ごとに全病院の平均包括範囲出来高点数に置換えた点数〕/〔全病院の平均一入院あたり包括点数〕 ※ 当該医療機関において、12症例(1症例/月)以上ある診断群分類のみを計算対象とする。 ※ 包括評価の対象となっている診断群分類のみを計算対象とする。  カバー率指数: 〔当該医療機関で一定症例数以上算定している診断群分類数〕/〔全診断群分類数〕 ※ 当該医療機関において、12症例(1症例/月)以上ある診断群分類のみを計算対象とする。 ※ すべて(包括評価の対象・対象外の両方を含む)の支払い分類を計算対象とする。  救急医療指数: 1症例あたり〔以下の患者について、入院後二日間までの包括範囲出来高点数と診断群分類点数表の点数との差額の総和〕 ※救急医療管理加算2に相当する患者の指数値は1/2 【A205救急医療管理加算の施設基準のある施設】 ・救急医療入院かつ以下のいずれかを入院初日から算定している患者 ・A205救急医療管理加算、A301-3脳卒中ケアユニット入院医療管理料、A300救命救急入院料、A301-4小児特定集中治療室管理料、A301特定集中治療室管理料、A302新生児特定集中治療室管理料、A301-2ハイケアユニット入院医療管理料、A303総合周産期特定集中治療室管理料 【「A205救急医療管理加算」の施設基準のない施設】:救急医療入院の患者

調査対象は、DPC標準病院群に該当する病院(1495施設)のほか、各係数の上位50病院・下位50病院に該当する病院などへの追加調査に加え、機能評価係数Ⅱの取得状況に着目し約10施設を選定したヒアリング調査も行った。

DPC標準病院群への調査では、以下のような結果が示された。

  • 令和4年8月~10月のDPC算定病床の病床利用率は、最小値15.1%、最大値100%

  • 診療情報管理部門に診療情報管理士未配置は160病院(10.7%)

  • DPCコーディング(14桁分類)の入力は、診療報酬請求部門が担う病院が750病院(50・2%)と最も多く、主治医が担う病院は536病院(35・9%)

  • DPC算定病床の医師数(常勤)は最小2人、最大261人

機能評価係数Ⅱの取得状況に着目した調査結果では、保険診療係数が最大値になっていない62病院に対して、部位不明・詳細不明コードが生じる理由などをきいている。また、効率性係数、複雑性係数、救急医療係数、地域医療係数のそれぞれについて、上位50病院・下位50病院に、係数が高い・係数が低いことの背景をきいている。

ヒアリング調査では、「係数」が他の病院とかけ離れている理由などをきいている。

旭川赤十字病院の牧野憲一委員は、「DPC/PDPSになじまないDPC対象病院があると理解している。特に、DPC算定病床が少ない病院にみられる『外れ値』が全体のデータを歪めてしまうことがあり得る」と指摘し、指標の設定の見直しが必要との認識を示した。

一方、地域医療機能推進機構の山本修一委員は、「DPC/PDPSに入れる入れないの基準を作る議論に偏らずに、実態としての病院の状況はさまざまであるということを踏まえ、丁寧な議論を行っていくべき」と述べた。

また、DPC対象病院の合併が、令和4年度中に3件あり、DPC対象病院は令和5年4月1日時点で、1761病院となった。

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