次期改定に向けDPC制度の議論開始 DPCにふさわしい病院の基準など課題に(2023年4月24日)
中医協の入院・外来医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)は4月24日、令和6年度診療報酬改定に向け、入院医療などに関する本格的な議論を開始した。同日は、今後の検討事項やスケジュールを確認。令和5年度調査項目案を了承したほか、DPC/PDPSに関して、令和2年度特別調査の結果や現況が報告された。
DPC制度の特別調査結果
DPC/PDPSの令和4年度特別調査の結果が報告された。調査では、DPC/PDPSになじまない可能性のある病院を含めたDPC対象病院の実態を把握するため、医療機関が担うべき役割や機能に対するインセンティブを評価している機能評価係数Ⅱに着目とした調査を行った。
機能評価係数Ⅱとは、DPC対象病院の医療提供体制全体の効率改善などの取組みを評価したもので、6つの係数がある(表の指数を係数に変換)。
調査対象は、DPC標準病院群に該当する病院(1495施設)のほか、各係数の上位50病院・下位50病院に該当する病院などへの追加調査に加え、機能評価係数Ⅱの取得状況に着目し約10施設を選定したヒアリング調査も行った。
DPC標準病院群への調査では、以下のような結果が示された。
令和4年8月~10月のDPC算定病床の病床利用率は、最小値15.1%、最大値100%
診療情報管理部門に診療情報管理士未配置は160病院(10.7%)
DPCコーディング(14桁分類)の入力は、診療報酬請求部門が担う病院が750病院(50・2%)と最も多く、主治医が担う病院は536病院(35・9%)
DPC算定病床の医師数(常勤)は最小2人、最大261人
機能評価係数Ⅱの取得状況に着目した調査結果では、保険診療係数が最大値になっていない62病院に対して、部位不明・詳細不明コードが生じる理由などをきいている。また、効率性係数、複雑性係数、救急医療係数、地域医療係数のそれぞれについて、上位50病院・下位50病院に、係数が高い・係数が低いことの背景をきいている。
ヒアリング調査では、「係数」が他の病院とかけ離れている理由などをきいている。
旭川赤十字病院の牧野憲一委員は、「DPC/PDPSになじまないDPC対象病院があると理解している。特に、DPC算定病床が少ない病院にみられる『外れ値』が全体のデータを歪めてしまうことがあり得る」と指摘し、指標の設定の見直しが必要との認識を示した。
一方、地域医療機能推進機構の山本修一委員は、「DPC/PDPSに入れる入れないの基準を作る議論に偏らずに、実態としての病院の状況はさまざまであるということを踏まえ、丁寧な議論を行っていくべき」と述べた。
また、DPC対象病院の合併が、令和4年度中に3件あり、DPC対象病院は令和5年4月1日時点で、1761病院となった。