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介護従事者処遇状況調査の項目にコロナの影響を反映へ(6月28日)

社会保障審議会介護給付費分科会の介護事業経営調査委員会(田中滋委員長)は28日、令和3年度介護従事者処遇状況等調査の実施について検討した。事業所運営や介護従事者の処遇の対応における新型コロナウイルス感染症の影響について調査項目案に反映するよう求める意見が出され、厚労省で再度、検討することになった。修正した調査項目案は7月に開催される予定の介護給付費分科会に示される。

参考:第32回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会資料

給与等の引き上げ以外の処遇改善で新たな項目を設定

同調査は介護従事者の処遇の状況や、介護職員処遇改善加算及び介護職員等特定処遇改善加算の影響の評価を行うもので、介護報酬改定の議論に活用される。

調査の実施時期は令和3年10月で、公表は4年3月の予定。調査対象は介護保険施設と訪問介護、通所介護、通所リハ、特定施設入居者生活介護、小規模多機能型居宅介護、認知症グループホーム。2年度に行われた臨時調査と同様であり、厚労省は特定処遇改善加算の対象外である居宅介護支援事業所を対象から外すことを示した。

抽出方法は従前と同じ層化無作為抽出法で抽出。特養の抽出率を2年度調査の5分の1から4分の1に引き上げること以外は同様である。

介護従事者について令和2年と3年共に在籍している者について各年9月の給与等を調べる(勤続1年未満の者も調査)。

調査内容の主な変更点としては、給与等の引き上げ以外の処遇改善状況について、今般の改定での見直しを踏まえて、①入職促進に向けた取組②資質の向上キャリアアップに向けた支援③両立支援・多様な働き方の促進④腰痛を含む心身の健康管理⑤生産性向上のための業務改善の取組⑥やりがい・働きがいの醸成─について確認する項目を設定する。

また介護医療院について転換前のサービスについて確認する項目を追加する。

居宅介護支援事業所を調査対象から外すことに異論も

意見交換で、福祉医療機構の千葉正展委員は、居宅介護支援事業所を調査対象から外す理由やコロナの影響への考慮について質問した。

厚労省は居宅介護支援事業所を調査対象から外すことについて、「特定処遇改善加算の影響をきめ細かく把握しなければならず、介護職員への調査の精度を高めたい。昨年度と同様としたい」などと説明。さらに調査対象となる各施設に配置されている介護支援専門員の給与は把握できることと、賃金構造基本統計などでも把握できることを理由に挙げた。またコロナの影響については「特化した質問は考えていなかった」とし、委員会の意見を求めた。

千葉委員はまず、居宅介護支援事業所を調査の対象外とすることについて、事業所の特性により給与等は影響を受けることから「たとえば特養にケアマネがいるからケアマネの給料が分かるというのはちょっと違う。介護給付費分科会で関係者から意見を聞くべき」と主張。慶応大学大学院教授の堀田聰子委員も「議論を尽くすべき」と指摘した。

またコロナの影響については、調査項目に反映していく方向で委員会は一致した。

影響があった事業所を調査客体から外すことも考えられるが、堀田委員は「幅広く除外されてしまう可能性がある」と指摘。さらにコロナの影響の有無とともに、「選択肢の中で確実にコロナの影響があり得るものは加えていただく対応がよいのではないか」と提案した。

千葉委員は「(コロナの影響の)実態を調査票の中できいていく方が適切ではないか」と述べた。他の委員も同調し、田中委員長も調査は10月であることから感染の影響を考慮する工夫が必要であることを強調した。

これまでの議論を踏まえ、堀田委員は「利用者・職員にコロナの陽性者・濃厚接触者・感染が疑われ対応が必要であった人がいたのかに加えて、休業やサービス提供日・提供時間の縮小など事業所運営の対応、影響の2つに分けて聞いた方がいいのではないか」と整理した。

厚労省は、委員会での意見を受けて調査項目案を再度検討し、修正内容を田中委員長が判断することになった。修正された調査項目案は介護給付費分科会に示される予定だ。

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