電子処方箋の普及に向けて推進協議会を開催 医療機関から「費用が課題」との声(2月27日)
厚生労働省は2月27日、電子処方箋推進協議会を初めて開き、電子処方箋の導入状況を報告するとともに、利用施設を増やすための取組みを議論した。医療提供側の委員からは、費用負担が課題との意見が出された。
電子処方箋は1月26日に運用がスタートし、2月19日時点で全国684施設において利用されている。加藤勝信厚労相は、「電子処方箋は紙の処方箋を単に電子化するものではなく、薬剤情報をリアルタイムで共有でき、患者さんがお薬手帳を持参しない場合でも注意すべき飲み合わせや重複投薬の自動チェックが可能になるなど、医療DXを推進するための柱だ。医療のあり方を抜本的に改革する取り組みだ」と導入の意義を強調。「全力で推進に取り組む」と述べた。
電子処方箋の普及に向けた課題としては、オンライン資格確認導入のための作業が優先され、システムベンダの業務がひっ迫し、電子処方箋のシステム改修に対応するための余力が乏しいことがある。また、電子署名に必要なHPKIカードへのニーズが急増したため、医師や薬剤師の方々の手元に届くのが遅れている。
厚労省は、電子処方箋システム導入に対応可能なシステムベンダ21社のリストを示した。HPKIカードの発行体制も強化し、システム改修終了施設へのカードの早期発行やカードレス署名の導入促進に取り組むとした。
日本医師会の長島公之委員は、導入費用の負担が課題と指摘した。医療情報化支援基金による補助金の補助率や上限額が低いなどの問題をあげ、「導入費用全額を国がもつことで、普及が急速に進むはずだ」と述べた。
電子処方箋推進協議会 構成員名簿
新垣 淑仁(保健医療福祉情報システム工業会戦略企画部事業企画推進室副室長)
宇佐美 伸治(日本歯科医師会常務理事)
大道 道大(日本病院会副会長)
柄澤 忍(日本保険薬局協会常務理事)
関口 周吉(日本チェーンドラッグストア協会理事)
長島 公之(日本医師会常任理事)
美原 盤(全日本病院協会副会長)
渡邊 大記(日本薬剤師会副会長)
(計8名)(令和5年2月17日時点)