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日医が医療的ケア児の支援の充実を求める(7月30日)

厚労省の障害福祉サービス等報酬改定検討チームは7月30日、令和3年度の報酬改定に向けて関係団体からのヒアリングを継続した。今回は日本医師会など10団体から意見を聴取した。日医は医療的ケア児の支援の充実を求めた。日医を含む複数の団体が医療型短期入所の整備促進・拡充などを訴えた。次回は8月7日に最後のヒアリングが行われる予定だ。

複数の団体が医療型短期入所の拡充等を要望

日本医師会は、大きく①動ける医療的ケア児の障害児通所支援の促進②医療的ケア児者の医療型短期入所の整備促進、機能強化・充実③医療的ケア児者の計画相談に関する評価④重度訪問介護の障害児への拡大─など10点を要望した。

このうち、①動ける医療的ケア児の障害児通所支援の促進では、障害児通所支援における動ける医療的ケア児の受け入れを促進するため、医療的ケア児判定スコアの改変および見守りのための人員配置や居住空間の確保に見合う報酬上の評価を求めた。

30年度改定では障害児通所支援の給付費に看護職員加配加算が新設されたが、「実際には医療的ケアの受け入れはあまり進んでいない」と指摘。その理由として全国の障害児通所施設に対するアンケート調査結果から、「現行の医療的ケア判定スコアが動ける医療的ケア児にかかる負担や福祉施設での医療的ケアに対する負担を考慮していないため」とした。

新たな「医療的ケア判定スコア」は14項目で、見守りの度合いも勘案して算出するもの。

国立病院機構は、重症心身障害児者の支援にあたり、医療型短期入所について、「医療ニーズの高い利用者への支援や緊急の利用者への支援に対する評価(特別重度支援加算、緊急短期入所受入加算)を継続するとともに、評価を充実して頂きたい」と求めた。通所事業の充実にあたり、▽医療度の高い重症心身障害児者の送迎に看護師が同乗した場合の「重症児者加算」の新設▽医療度の高い利用者に対する入浴サービスを提供する場合の「入浴加算」の新設─を求めた。

全国重症児者デイサービス・ネットワークは、重症心身障害者を対象とし、看護職員などの配置を義務化した「重症者対応型生活介護」の新設を要望。また医療型短期入所の拡充を求め、基本報酬の引き上げとともに、入浴や保育など日中活動の提供による加算の創設や、「欠席時対応加算」の導入を示した。

日本精神科病院協会は、生活介護・短期入所などにおける「食事提供体制加算」の適用期限の延長を求めた。障害福祉計画において体制整備が重点項目とされている「地域生活支援拠点」の確保・整備を着実に進めるため夜間休日を含む緊急時の受け入れ・対応に共同生活援助も積極的に関与する必要があるなどとし、地域生活支援拠点に参画する共同生活援助について短期入所と同様に「緊急短期入所受入加算」「定員超過特例加算」を新設するよう要望した。

日本筋ジストロフィー協会は、在宅療養患者のQOLの向上の一環として、地域生活支援拠点を医療的ケア利用者にも対応させ、レスパイト入院、短期入所、緊急一時入院など万が一の際の患者の居場所の確保を求めた。

日本相談支援専門員協会は、地域移行支援の対象拡大を求め、18歳未満の障害児入所施設の入所児童や病院から退院する医療的ケア児等を地域移行支援の対象とすることを訴えた。

DPI日本会議は、障害者の地域移行を行いやすくするサービスや仕組みの新設を要望。障害者の地域移行を行った施設や病院、介護事業所、相談支援事業所を評価する仕組みの導入などを挙げた。

全国精神障害者社会福祉事業者ネットワークは、障害特性から多様なサービスの提供が必要な相談支援事業所では様々な理由で計画相談が中断するケースがあるとともに、現行制度ではその間の支援が評価されないとし、支援の内容に見合った報酬のあり方を検討するように求めた。

全国精神障害者地域生活支援協議会は、障害福祉サービス等報酬改定検討チームに障害当事者の参画を必須にすべきなどと訴えた。

日本精神保健福祉事業連合は、『共生型サービス加算』の対象拡大を要請した。具体的に、日中活動系・就労系・障害児通所サービスにおいて、事業所職員を除く定員と同数以上の健常者(児)と共にプログラムや仕事を行うことの評価を求めた。

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