都医の平川副会長「介護崩壊を防ぐには原則入院対応の徹底を」(7月30日)
東京都医師会の平川博之副会長は7月30日の会見で、高齢者施設における新型コロナウイルス感染状況と今後の対策について見解を示した。医療崩壊につながる介護崩壊を防ぐ方策として、原則入院対応の徹底や積極的なPCR検査の実施をあげた。
平川副会長は、全国老人保健施設協会の副会長も務めている。 平川副会長は、新型コロナによる総死者数に占める介護施設死者数の国際比較を説明。スペイン66.5%、フランス50.9%、スウェーデン40.6%、ドイツ37.6%、イギリス36.7%に比べて、日本は14.2%と非常に低いことを指摘した。
また、老人保健施設における新型コロナの感染状況として、3600施設のうち17施設で陽性者が発生して「陽性者発生率は0.005」であり、さらに大きなクラスターが発生したのは6施設であることから「クラスター発生率は0.0017」とした。
介護施設の死者数の割合や陽性者・クラスター比率が低い理由について「普段からインフルエンザなどの感染症対策にはがんばって対応していることと、迅速に施設側がロックダウンしたことだと思う。早い段階から面会制限などを実施し、2月下旬には多くの施設でロックダウンの状態になっていた。普段からの用心を重ねることで、水際で防げたのではないか」と述べた。
平川副会長は、「これまでがんばってきたが、これから先は不安も多い。介護が崩壊すれば医療も間違いなく崩壊する。そのためには、陽性者は入院という原則を徹底してほしい」と述べ、原則入院対応の徹底を訴えた。
このほか、施設内に感染源を持ち込まないための「積極的なPCR検査の実施」、区市町単位で複数の編成による「専門家チームの派遣」、感染や濃厚接触で出務できなくなった施設職員を補てんするための「応援職員派遣」をあげた。