見出し画像

電子処方箋の導入時期 公的病院414施設で未定(2023年4月28日)

厚労省は4月28日、第2回電子処方箋推進協議会を開催し、電子処方箋の導入状況・普及拡大に向けた対応等を議論した。薬局を経営する参考人から運用状況が紹介されたほか、事務局からは公的病院における導入見通しなどが報告された。

この日の参考人、大石美也アインファーマシーズ代表取締役社長は、同社における電子処方箋の導入状況を説明した。
同社の対応薬局では従来の紙処方箋、引換番号付き紙処方箋、処方内容の控え(電子処方箋)の3パターンの様式を扱っている。運用開始当初こそシステムエラーがあったものの、現在はおおむね安定して運用されている。

今後の課題としては、電子薬歴との連動や印刷物の削減、安全かつ効率的な運用の確立等があるという。国のシステムや制度に対しては、電子処方箋対応範囲の拡充や、トレーシングレポートの登録機能の実装等に期待するとした。

3000以上の薬局が運用を開始

事務局からは、全国における導入状況等が報告された。

電子処方箋は4月23日現在、3,352施設で運用が開始されている。内訳は病院9、医科診療所250、歯科診療11、薬局3,082となっている。

左右に、黄色と青に塗り分けられた日本地図。 左は令和5年1月26日、右は4月23日。 右は黄色の面積が増えている。 黄色は「同一市区町村内に少なくとも1カ所以上、医療機関と薬局の電子処方箋対応施設が立地している都道府県」。 青色は、「医療機関あるいは薬局のいずれかの電子処方箋対応施設が立地している都道府県」。

HPKIカードの発行枚数は3月末時点で約7.2万枚に達した。また、システム改修完了済等の条件を満たす申請に対して早期発行する仕組み(ファストトラック)を3月末に開始した。

周知広報拡充に関しては、電子処方箋が特に広がる見込みの地域に対して集中訴求するなど、メリハリを利かせた周知広報を展開していく。5月以降、リフィルや院内処方など機能拡充等の先行検証と併せて行う。

また、公的病院の導入見通しが報告された。調査によれば、回答した公的病院714施設のうち、令和5年度中に導入を予定している病院は214施設だった(下図)。令和6年度は48施設、7年度以降は36施設、未定は414施設だった。

計714施設から回答(4月20日時点)/2023年4月28日第2回電子処方箋推進協議会資料

導入に至っていない理由としては次の意見のように、周辺薬局やシステムベンダーの対応状況、費用負担等が導入が課題との意見があった。

  • オンライン資格確認等システム利用が伸び悩んでおり、導入後に電子処方箋の利用が伸びるのか疑問

  • 周辺薬局の対応がまだできていないので、翌年度に導入する方向で調整

  • 費用負担が大きく予算確保が出来ていない

中長期的にクラウドベースへの移行を提案

事務局はまた、「中長期的な一つの選択肢」として、オンプレ型中心となっている医療機関・薬局システム(拠点システム)について、電子処方箋関連機能を含めてクラウドベースのシステム構成へ移行する方向性を提示した。クラウド化には、障害時対応などの課題も多いが、改修負担や導入工数の軽減の観点から、中長期的かつ計画的に対応していくべきだとした。

これらの報告に対し委員からは、「マイナポータルと併せて、国民がメリットが感じられるかたちでの取組みを」「HPKIカードの発行はさらなる加速を」「面的拡大には三師会と協力する必要がある」「システム改修の予算は全額補助すべき」といった声があがった。

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!

社会保険研究所ブックストアでは、診療報酬、介護保険、年金の実務に役立つ本を発売しています。