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「高齢者世帯」が初の3割超え、「児童のいる世帯」は2割を切る

厚生労働省は7月4日、2022(令和4)年国民生活基礎調査の結果を公表した。国民生活基礎調査は、保健、医療、福祉、年金、所得などの国民生活の基礎的事項を調査するもので、3年ごとに大規模調査を実施し、2022(令和4)年は、13回目の大規模調査の年となる。大規模調査では、毎年調査している世帯と所得のほか、健康、介護、貯蓄、貧困率について公表している。

単独世帯は過去最高に

2022(令和4)年6月2日現在の全国の世帯総数は、5,431万世帯となり、世帯構造を見ると「単独世帯」が1,785万2,000世帯で全世帯の32.9%を占め、過去最高となった。次いで「夫婦と未婚の子のみの世帯」が1,402万2,000世帯で同25.8%、「夫婦のみの世帯」が1,333万世帯で同24.5%となった。厚労省は、単独世帯が増加していることについて高齢化により夫婦の一方の死亡により単独世帯になったケースなどが考えられるとしている。世帯類型を見ると、65歳以上の人だけで構成するかこれに18歳未満の未婚の人が加わった「高齢者世帯」は1,693万1,000世帯となり、全世帯の31.2%を占め、1986年の統計開始から初めて3割を超える結果となった。一方、児童のいる世帯は991万7,000世帯で全世帯の18.3%となり、統計開始から初めて1,000万世帯を下回り、全世帯に占める割合も2割を下回る結果となった。

公的年金等が総所得の8割以上となる高齢者世帯は6割超

2021(令和3)年1月1日から12月31日までの所得状況は、1世帯当たり平均所得金額が「全世帯」で545万7,000円となり、「高齢者世帯」は318万3,000円、「高齢者世帯以外の世帯」が665万円、「児童のいる世帯」が785万円となっている。
各種世帯の所得の種類別に1世帯当たりの平均所得金額の構成割合を見ると、全世帯では「稼働所得」が73.2%、「公的年金・恩給」が20.1%であるのに対し、高齢者世帯では「公的年金・恩給」が62.8%、「稼働所得」が25.2%となっている。なお、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のなかで、公的年金・恩給が総所得に占める割合が100%である世帯は44.0%、80~100%未満の世帯は16.5%、60~80%未満の世帯は13.9%だった。


公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合(厚生労働省資料より)

前年より貯蓄が減った60歳以上は4割超

貯蓄の状況を見ると、「貯蓄がある」のは全世帯の82.4%で「1世帯当たり平均貯蓄額」は1,368万3,000円。「貯蓄がある」高齢者世帯は80.7%で、「1世帯当たり平均貯蓄額」は1,603万9,000円だった。
世帯主の年齢階級別に1世帯当たり平均貯蓄額の状況を見ると、「60~69歳」が1,738万8,000円と最も高く、次いで「70歳以上」が1,594万7,000円となっている。世帯主の年齢階級別に貯蓄の増減状況を見ると、前年より「貯蓄が減った」世帯は総数で36.3%となり、60歳以上では4割を超える結果となった。

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