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オンライン資格確認システム導入の「原則義務化」を提案(5月25日)

社会保障審議会の医療保険部会は5月25日、オンライン資格確認システムの導入について議論した。厚労省は、導入促進に向けて今年9月末の中間到達目標を掲げるとともに、さらなる対策として来年4月からの保険医療機関・薬局でのシステム導入の「原則義務化」を提案。令和6年度中には保険証発行の選択性を導入し、将来的には保険証の原則廃止をめざす方針を示した。

オンライン資格確認については、令和5年3月末までおおむね全ての医療機関・薬局へのシステム導入をめざす目標を打ち出している。

しかし、5月15日時点で顔認証付きカードリーダーの申込施設は全体(23.0万施設)の約58%(13.3万施設)、準備完了施設は約25%(5.7万施設)、運用開始施設は19%(4.4万施設)にとどまっている。

目標達成に向けて、厚労省は遅くとも9月頃までにカードリーダー未申込の施設の申し込みが必要とし、令和4年度上半期に導入加速化に向けた集中的な取組みを行う意向を示した。そのため、9月末時点でおおむね5割(11.5万施設)の導入をめざす「中間到達目標」を掲げた。

その上で、厚労省はさらなる対策として、データヘルスの基盤となるオンライン資格確認の導入目標を達成するため、次の3つの対策を打ち出した。

  1. 令和5年4月から保険医療機関・薬局におけるシステム導入について原則として義務化する。

  2. 医療機関・薬局でのシステム導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むように、関連する財政措置を見直す。診療報酬上の加算の取扱いについては、中医協で検討する。

  3. 令和6年度中を目途に、保険者による保険証発行の選択制の導入をめざす。さらに、訪問看護ステーションや柔道整復・あはきの施術所などのオンライン資格確認の導入状況などを踏まえて、保険証の原則廃止をめざす。

オンライン確認システム導入の原則義務化の提案に対し、日本医師会副会長の松原謙二委員は「突然、義務化の話が出てびっくりしている。導入できないところは保険医療機関をやめろということか。最初の話では義務化はしないという約束だったと思う。やり方があまりにも拙速ではないか」と反対した。

一方、日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦委員は「スピードアップするためにはやむを得ない対応ではないか。医療のDX化を促進するためには、医療提供者側も含めて各ステークホルダーが痛み分けをしながら進めていく必要がある」と容認した。

健保連の佐野雅宏委員は「基盤整備のスピードアップにつながり、大賛成である。4割以上の施設が第1ステップのカードリーダーの申し込みさえしていない状況で、この現実を受け止める必要がある。目標を達成するためには、義務化を打ち出すのはある意味当然ではないか。医師会をはじめ医療界もぜひとも協力をお願いしたい」と述べた。  

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