労働者協同組合という働き方|#11 労働者協同組合の従事原則について
従事原則については本連載の#3でも取り上げました。今回は従事原則に付随する数値基準の適用について確率を利用したシミュレーションにより考察したいと思います。また、労働者協同組合法の施行(2022年10月1日)まで1ヶ月余りとなりましたので、法施行後3年以内に限り組合に組織変更が認められている企業組合とNPO法人についても触れたいと思います。
企業組合については、中小企業庁のホームページにその概要が記載されていますので、以下に抜粋します。
「個人が創業する際に、会社に比べ少額の資本で法人格及び有限責任を取得できるように考えられた、いわば簡易な会社ともいうべき組合です。(略)最近では、企業をリタイヤした人材や主婦、高齢者、SOHO事業者等が自らの経験、ノウハウ等を生かして、働く場を作ろうとするケースが増えており、福祉介護、託児所開設(保育士・看護師の経験を生かした創業)、地元特産品の開発、ソフトウェア開発、インターネットを活用したビジネス等様々な分野での創業に活用されています。(略)」
以下の表は、企業組合、NPO法人、労働者協同組合について根拠法などの項目を比較したものです。
従事原則
労働者協同組合の基本原則の1つである従事原則とは、「組合員が組合の行う事業に従事すること。」(法律第3条第1項第3号)というものです。法律第8条には付随する数値基準が示されており、以下に引用します。
「第1項 総組合員の5分の4以上の数の組合員は、組合の行う事業に従事しなければならない。
第2項 組合の行う事業に従事する者の4分の3以上は、組合員でなければならない。」
これは、上の比較表の「従事比率」と「組合員比率」として示しているものです。企業組合にも同様な規定があることがわかります。
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