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年金・税金 わたしの相談事例 公開します|#2 2種類の「扶養」

ひと言で「扶養に入る」といっても、それが2種類あることを意識していない方が意外に多いことを、これまでの経験の中で何度も実感してきました。
一般の方は多くの場合、目に見える「健康保険証」が交付されていること=扶養、ととらえがちのようですが、実際には税制上の扶養と社会保険上の扶養とでは収入基準や扶養の範囲が大きく違い、「税制上は扶養控除の対象だが、社会保険上は被扶養者ではない」というケースもあれば、「社会保険上は被扶養者だが、税制上は配偶者控除の対象ではない」というケースもあります。

今年も年末調整やそれに続く確定申告の時期が近づいてきましたので、今回はその実例を3件取り上げます。すべて、確定申告すると所得税の還付金が受け取れ、住民税の負担も軽くなることをアドバイスした事例です。

<ケース①>
「父親が亡くなり母親と生計を同じくしている子は、母親の年金収入が多くても母親を扶養控除の対象にできることがある」

50代のTさんは、父親が亡くなったのを機に、同居の母親を自分の扶養家族にしようと思い、職場の担当者に申し出たところ、「あなたのお母さんは年金をたくさんもらっているから、扶養家族にはできません」と言われたそうです。
そのため、その後ずっと年末調整時にも母親を扶養親族として申告せずに5年近くが経過しました。ある年、母親が入院して大きな手術も受けたのでかなりの医療費がかかり、「確定申告で医療費控除を受けるやり方を知りたい」と私に相談がありました。

しくみの説明のためにTさんの源泉徴収票を拝見すると、母親が扶養親族欄に記載されていなかったので事情を尋ねたところ、上記の経緯がわかったのでした。母親の年金収入は年間250万円ほどで、確かに健康保険の被扶養者にはなりませんが、うち150万円が非課税の遺族年金でしたから、税制上は控除対象扶養親族になります。

そのことを説明し、過去5年分遡って確定申告ができるので勤務先から過年度の源泉徴収票の再交付を受けるようご案内したところ、「面倒だなぁ…」という反応で、「それでいったいいくらくらい税金が戻るのですか」と尋ねられたので、「ザックリと計算しても軽く50万円以上にはなりますね」と答えたところ、目の色が変わって、「それならすぐにやります!」とおっしゃいました。

実は後日談があります。Tさんからこの話を聞いた妹のKさん宅でも、義母についてまったく同じ状況になっていて、Kさんの夫が過去分も含めて確定申告をしたところ、やはり30万円超の還付金が受け取れたそうです。

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