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リハ提供体制の整備の指標案が示される(5月20日)

厚労省は20日、第2回「要介護者等に対するリハビリテーションサービス提供体制に関する検討会」(田中滋座長)を持ち回り審議により開催した。

前回の検討会で出された意見を踏まえて、第8期介護保険事業(支援)計画の策定で活用されるリハ提供体制を整備する上での指標案と、そのための手引きの概要・構成案等が示された。アウトカム指標の提示は取りやめ、考え方と具体例を示すことにとどめることとなった。

今後、構成員から寄せられる意見を踏まえ、6月下旬に議論を取りまとめる予定だ。

アウトカム指標は、考え方と具体例の提示にとどめる

対象となるのは老健施設・介護医療院・訪問リハ・通所リハ。指標案は、ストラクチャーとプロセスで示され、アウトカムは現時点で定めることは困難とし、考え方と具体例を示すことにとどめることが提案された。

ストラクチャー指標案はとしては、①訪問・通所リハ事業所数②老健施設・介護医療院施設数③要介護者1人当たり定員数④従事者数(職種別・サービス別)─が示された。

プロセス指標案としては、①訪問・通所リハの受給率②老健施設・介護医療院の利用率③短期集中リハ実施加算算定件数④認知症短期集中リハ実施加算算定件数⑤生活機能向上連携加算算定件数⑥個別リハ実施加算算定件数⑦経口維持加算算定件数⑧福祉用具貸与算定件数─が示された。

アウトカム指標の考え方としては、▽生活期リハは活動・参加の拡大を目指すこと▽地域共生▽本人の尊厳▽生活の維持向上▽保険者機能強化推進交付金及び介護予防の成果のイメージ等の既存の項目を参考にする─などが示された。

さらに具体例としては、▽主観的幸福感、健康感▽ADL(バーセル・インデックス、FIM)の変化度▽日常生活自立度▽要介護者の満足度▽IADL(FAI)▽社会参加への移行(社会参加支援加算の算定件数も参考)─が示された。

PDCAサイクルに基づくリハ提供体制の構築を支援

第8期計画策定の手引きについては、指標とともに、自治体がPDCAサイクルに基づき、介護保険のリハ・サービスについて「現状の把握と評価(確認)」を行い、計画の策定を支援するものとされた。

手引きの構成案が示され、大きく(1)本手引きの位置づけと基本的な考え方(2)要介護者等に対するリハ提供体制に係る事業計画の作成プロセス(3)事業計画の作成プロセスの例(4)計画作成後の実践と進捗管理─の4章構成になる。

このうち(2)では、計画作成プロセスとして、①地域が目指す姿・ビジョンの設定②検討事項の明確化③地域の実態の把握④リハ提供体制の構築方針の検討⑤計画策定後の実践と進捗管理─を提示する。(3)では、指標を活用した検討例を示す。(4)では、計画作成後の着実な実践に向けて、取り組みの効果(アウトカム)を意識したストラクチャー・プロセス指標による現状把握、また現状把握に基づいた改善の継続による、地域マネジメントの重要性を示すとしている。

指標の活用における留意事項として、構成員からの意見を踏まえ、指標の解釈に際しては、人口・高齢化・要介護認定率などの地域差を考慮する必要があることなどを示すとされた。

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