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遺族年金のしくみと手続~詳細版|#15別居で経済的援助がなかった妻の遺族年金の請求は認められるか

石渡 登志喜(いしわた・としき)/社会保険労務士・年金アドバイザー

今回は、暴力を振るうために別居していた夫が、別居中に死亡した事例をご紹介します。別居中、妻は夫から経済的援助を受けられず、また音信も途絶えた状況でした。こうした場合の生計維持関係をどのように判断するのか、見ていきます。

【事例概要】

死亡者:A夫さん(昭和25年5月10日生まれ:72歳)
・老齢基礎年金、老齢厚生年金受給者
・定年退職後、飲酒による暴力行為がエスカレート
・平成28年7月 精神障害により他人に害を加える恐れがあるため措置入院
・令和4年7月   急性心不全により死亡 

請求者:B子さん(昭和28年7月15日生まれ:69歳)
・A夫さんの妻
・平成30年4月 A夫さんの暴力から逃れるために別居
・令和4年8月   遺族厚生年金の請求に来所 


暴力行為のために別居中の夫が死亡

年金受給中の夫、A夫さんが急性心不全により死亡したとのことで、妻のB子さんが遺族厚生年金の請求に来所されました。請求人であるB子さんの話によれば、A夫さんの死亡当時、A夫さんとB子さんは別居していました。A夫さんは定年退職後に一気に酒量が増え、飲酒後の暴力行為が激しくなったために、一時的に別居生活をせざるを得なかったとのことです。

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