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#36 行方不明後に死亡が確認された場合の遺族厚生年金の受給権

石渡 登志喜(いしわた・としき)/社会保険労務士・年金アドバイザー

今回は行方不明になった夫が1月後に遺体で発見されたケースです。行方不明になった日から死亡日までの生計維持・生計同一関係をどのように認定するかがポイントです。


【事例概要】
死亡者:Aさん(昭和30年7月7日生まれ:68歳/年金受給者)
・令和6年3月20日、散歩に出かけて行方不明に
・   同年  4月25日、遺体が発見される
 
請求者:B子さん(昭和34年8月5日生まれ:64歳)
・Aさんの戸籍上の妻
・昭和62年6月20日、Aさんとの婚姻を届出
・令和6年5月10日、遺族年金請求のために年金事務所を来所

夫が散歩に出かけて行方不明に

夫のAさんが行方不明となり、約1月後に発見されたときには死亡が確認されたとのことで、妻のB子さんが遺族厚生年金の請求のために年金事務所に来所されました。

B子さんの持参資料や記録によると、Aさんは厚生年金被保険者期間が38年あり、老齢基礎年金及び老齢厚生年金の受給権者でした。また、AさんとB子さんは婚姻の届出をしており、2人の子どもをもうけました。子どもは共に独立して生活しており、AさんとB子さんは2人で生活していたとのことです。
 
B子さんの話によると、令和6年3月20日15時頃、Aさんは「ちょっと出かけてくる」と言って家を出たとのことでした。Aさんは毎日、夕方になるとふらっと散歩に出るため、B子さんはいつもの散歩だと思いました。大抵は1時間もすると戻ってきましたが、その日は遅くなっても戻らず連絡もありません。子どもたちと一緒に友人宅等に問い合わせても見つからないため同日20時頃、所轄の警察署に捜索願を提出し、Aさんの行方を捜索しました。
その後、Aさんから音信等、生存を示す事実がないままに1月以上が経過し、同年4月25日、山道を通りかかった人に発見されたと警察から連絡がありました。Aさんは崖下で発見され、その場で死亡が確認されました。

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