#9 |たかが預貯金、されど預貯金
預貯金にもデメリットはある!
今回からおもな金融商品についてひとつひとつ深掘りしていきますが、まずは①預貯金です。預貯金は、値動きのある金融商品を買う投資には含まれませんが、手持ちの資産を増やす資産運用の手段のひとつです。投資について考えるに先立って、預貯金の管理をしっかりとしておきたいものです。
預貯金をまったく利用していない人はほぼいないと思われ、わざわざしくみを説明するまでもなさそうですが、日銀のマイナス金利解除を受けてこのところ各金融機関の預金金利の引き上げが相次ぎ、定期預金等への関心が高まってきています。そこで改めて留意点を確認していきます。
預貯金は基本的には元本が減ることはないので、預貯金に置いておけば資産は安全!と思われがちですが、そういうわけではなく次の2つのデメリットがあります。
①金融機関の破綻
<図表1>のとおり、お金を預けている銀行が破綻しても預金保険制度により一定条件のもとで預金保険機構による保護が受けられます。
では、ゆうちょ銀行に預けた貯金は預金ではないので、預金保険制度の対象にはならないのでしょうか?そんなことはなく、民営化後のゆうちょ銀行は預金保険機構に加入しているので保護の対象になっています。また別に貯金保険制度もあり、ゆうちょ銀行以外の貯金も貯金保険機構により同様の保護が受けられます。
ただし、円の預貯金より金利が高いために人気の外貨預金は保護の対象外なので、注意が必要です。
②インフレによる目減り
預貯金の金利が物価上昇率よりも低い場合は、預貯金の実質的な価値が目減りします。現在はまさにこの状況で、対策として値動きのある金融商品への投資に関心が集まっています。
定期預金の活用
定期預金を大きな貯金箱のように考えて、計画的に資産を管理するのは大事なことです。マイナス金利解除前の定期預金の金利は普通預金と大差なく、預け入れ期間による金利の差もほとんどありませんでしたが、このところは1年、3年、5年、10年等により差がついてきているので、少しでも長い期間の定期にしたほうが良いようにも思えます。
ただし、預け入れ時の金利が満期まで適用されるため、満期までに世の中の金利が上昇してもその恩恵を受けることができません。もっとも一般的には定期預金を満期前に解約することは可能ですが、その場合は当初の約束より低い中途解約金利が適用されます。その金利は解約までの預け入れ期間によっても異なりますが、普通預金の金利が適用されるケースもあります。
現状では今後も預金金利の引き上げが続く可能性もあるため、期間が比較的短い定期預金を自動継続にしておいて、今後の金利の動向を見ていくと良いと思います。余裕資金があればこまめに定期預金にしておきたいものですが、その場合に、金利が同じであればまとまった額の1口の定期ではなく複数口に分散しておくと、急にお金が必要になったときにも柔軟に対応しやすくなります。
次に、定期預金の種類や満期時の取扱いの選択肢を<図表2>にまとめました。
このように定期預金にも種類ごとに特性があるので、目的・預け入れ金額・期間に応じて使い分けると、より有効に活用できます。また定期預金が満期を迎える時点でそのお金を使う具体的な予定がないのであれば、とりあえず自動継続にしておくことをお勧めします。特に元利自動継続にしておくと増えた利息も次の運用の元金になるので、複利効果により資産が増えやすくなります。
すでに金利が動き始めており、今後は金利や預け入れの条件により運用結果に差が生まれてくるので、定期預金の選択にも目配りが必要です。
キャンペーン金利はお得?
今は夏のボーナスの時期で、多くの金融機関では8月くらいまで定期預金金利をアップするボーナスキャンペーンが展開されています。金融機関ごとにいろいろな工夫をして預金の獲得を強化しており、確かに魅力的な金利も見受けられますが、預ける側は、新たに口座を開いたり資金を移動したりの手間やコストも含めて、その商品が自分にとって本当にメリットがあるのかを見極める必要があります。
<図表3>は、ボーナスキャンペーンではありませんが、現在ある銀行のホームページで実際に紹介されている商品です。実際に利息がいくら受け取れるのか、図表の最後までお目通しください。
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