都医の尾﨑会長「医療・介護関係者の総力戦でコロナと戦う」(3月9日)
東京都医師会の尾﨑治夫会長は3月9日の会見で、緊急事態宣言の延長を受けて今後の新型コロナウイルス感染症対策について「地域における医療・介護関係者の総力戦でコロナと戦う流れをつくりたい」と述べ、地域全体でコロナを診ていく体制づくりを構築する考えを示した。
新型コロナの医療提供体制について、これまではコロナ患者を受け入れる急性期病院に注目が集まっていることを指摘。今後の取り組みとして既存の急性期のコロナ診療体制を維持するとともに、感染のおそれのない患者に対する回復期リハ病棟や老人保健施設へのスムーズな転院、自宅療養者に対する重症化予防のための検査・治療などの見守り体制の強化を図る考えを示した。
その上で、2025年や2040年を見据えて構築を進めている地域医療構想や地域包括ケアシステムをコロナ診療に活用することを提案し、「コロナの感染力を失った患者は高齢者と同様に考えることができる。地域における急性期・慢性期・回復期の病院、老健施設、在宅医療、かかりつけ医の連携による地域包括ケアシステムのなかでコロナを診ていけるのではないか」と述べた。
延長された緊急事態宣言については「緊張感を持続し、リバウンドしない体制をつくりたい。これまである仕組みを利用しながら、医療・介護関係者による地域全体でコロナを診ていく体制をこの2週間でつくりたい」と述べた。
緊急事態宣言の解除の基準については「医療の立場からすると、1日の新規感染者数が100人台の前半ぐらいになることが望ましい」と述べた。
一方、猪口正孝副会長は、PCR検査等の検査体制の強化策を打ち出した。
「守りの検査」としては、老健施設を対象に実施。「高齢者施設のクラスターはスタッフを媒介にするケースが多い。郊外の老健施設のスタッフに週1回程度の割合で検査をし、クラスター化を防ぎたい」と述べた。
「攻めの検査」としては、感染者多数地区の若者を対象に実施。「発生源になる地区で行うために効果は高い。具体的な方法は検討中だが、都医として地区医師会に積極的に協力していく」と述べた。