産科補償制度見直し検討会が報告書案を了承(11月30日)
日本医療機能評価機構の産科医療補償制度の見直しに関する検討会は11月30日、補償対象基準や保険料水準などの見直しを盛り込んだ報告書案について了承した。座長預かりとなり、一部修正の上で公表する。制度見直しは2022年1月から実施される見通し。
同制度は2009年1月に創設され、2015年に補償対象となる脳性麻痺の基準や剰余金の取り扱いなどを改定。前回改定から5年経ったため、見直しを行った。
補償対象基準については現在、低酸素状況を要件としている個別審査を廃止し、一般審査に統合する。
補償対象範囲は、現在は通常分娩にもかかわらず脳性麻痺になった児童で「在胎週数32週以上かつ出生体重1400g以上、または在胎週数28週以上で所定の要件に該当する場合」などとしている。
今回の見直しでは、①在胎週数が28週以上②先天異常や新生児期要因によらない脳性麻痺③身体障害者程度等級1または2級相当の脳性麻痺―の3つの基準をすべて満たす場合を補償対象とする。2022年1月以降の分娩より適用する。
補償対象者は制度創設時は年間500人~800人程度と推計し、保険料は2014年まで3万円で、2015年1月以降は2.4万円となっている。
今回の見直しでは、全国の6年間の制度実績と同機構が昨年10月にまとめた「脳性麻痺児の実態把握に関する疫学調査」に基づき決定。補償対象者数の目安は年間455人(推定区間380人~549人)で、保険料は2.2万円。
保険料のうちの掛金と保険料充当額については、剰余金の残高や制度の長期的な安定的運営の観点と補償対象基準の見直しを踏まえて決定。保険料2.2万円のうち、掛金は1.2万円、保険料充当額は1万円とする。